陳情文書表

受理番号第163号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和6年9月19日 付託年月日令和6年10月8日
件名 砂糖制度の堅持及び経営安定対策、サトウキビ生産振興等に関する陳情
提出者さとうきび委員会
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要旨

 令和5年産のサトウキビ生産状況は、一部の地域で台風や干ばつ等の気象災害の影響を受け、66万3100トンと前年産に比べ7万4500トン、10%減少した。また、製糖工場においては機械収穫率の増加に伴う天候不良時の搬入量不足により製品歩留りや単収が低下している島もあり、労働力不足など各島における課題がより鮮明になった。
 サトウキビ生産の現場では化学肥料や燃料、除草剤等の価格高騰が続き、サトウキビ農家の生産意欲減退が危惧されている。また、生産者の高齢化、担い手不足を要因とした多回株出し比率の増加や管理作業遅滞による気象災害への脆弱性がより一層顕著になっており、受託作業の担い手確保や組織化を着実に進展させ、持続的かつ安定的なサトウキビ生産を可能とする体制の構築が求められている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 糖価調整制度の堅持について
(1)「ありが糖運動」をはじめ、国産糖を使用した菓子等の輸出に向けた需要拡大を強化し、調整金制度の安定化に向けた取組を継続すること。
(2)農産物自由化交渉における砂糖制度の聖域を堅持すること。
2 さとうきび増産基金は気象災害等に対する緊急支援を行うために設立されたセーフティーネット基金であり、相次ぐ病害虫被害や気象災害発生時に当該基金が活用され、被害を受けた多くの農家が再生産へ向け救済・支援を受けている。今後も生産量の確保に向けて、当該基金の継続を国に働きかけること。
3 原油価格の高騰や化学肥料の高騰を受け、農家は大幅な生産コストの負担増加を余儀なくされており、今後のサトウキビ生産継続に大きな影響を与えることが懸念される。バカス、フィルターケーキ及び糖蜜を利用した有機資材の促進と化学肥料購入に対して継続的な支援・助成を行うこと。
4 サトウキビ生産安定対策について
(1)農業機械導入支援対策について
   生産者の高齢化、担い手不足等農家戸数の減少に伴い、1戸当たりの収穫面積は増加している。現在稼働中のハーベスタ(以下「HV」という。)等の農業機械は、生産量増加に伴う稼働率の増加や耐用年数の経過により劣化が著しく、修繕にかかる費用負担が大きいことから、農業機械の導入、機材
  等の更新に対する予算を拡充すること。
(2)新規就農者・兼業農家支援対策について
  ア 近年、耕作放棄地の増加や粗放農業などが深刻化している。農家戸数の減少がその要因として考えられるが、専業の大規模農家を確保する一方で、狭小圃揚が多く点在し、耕作放棄地が増加していることが大きな課題となっている。大規模農家が敬遠する圃場を担ってもらえるよう兼業農家へ積極的な支援を行い、初期費用に係る負担を抑える制度を構築すること。
  イ 商品への価格転嫁ができないサトウキビ栽培において、収穫時のHV利用料金は農家の生産意欲減退や経営負担につながることから、同利用料金の助成を行うこと。
(3)干ばつ対策への支援について
   梅雨明けにかけて、沖縄県全域でまとまった雨量がなく、一部の地域での干ばつ被害が深刻なことから、かん水作業等への補助を継続すること。