陳情文書表

受理番号第171号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和2年9月23日 付託年月日令和2年9月30日
件名 下地島空港に係る「屋良覚書」遵守と軍事利用を認めないことを求める陳情
提出者ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会
********
要旨


 コロナ感染症が拡大し国民が不安と経済的逼迫の中、政府・防衛省はコロナ対策ではなく軍備拡大の政策を取り続けている。7月の新防衛白書で「陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の撤回」が明記され、代わって、自民党ミサイル防衛検討チームの「敵基地攻撃能力保有」の提言が登場、政府は新たなミサイル防衛についての協議を本格化させた。この動きと連動するように、宮古島市においては「沖縄の領土・領海を守る会」が7月末記者会見し「自衛隊機の下地島空港配備容認」を示し、8月6日には自民党の国防議員連盟は「宮古島の下地島空港の自衛隊使用」を防衛大臣に申し入れた。
 1960年代後半に空港建設の計画が浮上、宮古島圏内の熾烈な反対運動の結果、1971年に当時の琉球政府と日本政府の間で「下地島空港は沖縄県の管理空港であり、軍事利用はしない」という覚書(屋良覚書)が交わされ、これまでも再三国会等でも確認されているにもかかわらず、1979年の開港以来、これまでに300回を超える米軍機の下地島空港飛来が強行されてきた。2005年3月市町村合併前の伊良部町議会において、緊急動議で8対9で可決された「自衛隊配備」をその日のうちに島民の結集と追及で覆して白紙撤回させた闘いの歴史があるが、その当時から日米同盟再編の中で島嶼防衛が語られ始め、陸上自衛隊ミサイル部隊配備計画が明らかになった近年は米軍機の飛来はない。しかし、その間「普天間基地の代替候補」に挙げられたり、F35戦闘機の訓練場として浮上したり、「下地島での米軍訓練」が提案されている。米軍は既に2001年、米国シンクタンクのランド研究所が「下地島空港は軍事的要衝」と提言し、この40年間下地島空港の米軍利用が図られ、今また米軍の軍事戦略が再編、海兵隊の役割が変更され、新しい米海兵隊「沿岸連隊」の沖縄島嶼部への27年までの配備が報道されている。
 近年の米軍・自衛隊基地の共同使用、訓練の一体化を見れば、下地島空港の自衛隊利用には必ず米軍の宮古島への流入が伴うと考えられ、米中の緊張の高まりの中で戦争への危機が増す自衛隊の空港利用を認めることは決してできない。近年の民間LCC路線の開設など下地島空港の平和利用、観光産業への寄与、最近の報道による「下地島宇宙港事業」の民間の事業計画などを見れば、下地島空港の自衛隊利用や軍民共用は宮古島と沖縄に明るい未来をもたらすとは思えない。
 1971年沖縄の復帰運動のさなか、宮古島を揺るがした大反対運動が、琉球政府の屋良朝苗主席の背中を押し、日本政府と結んだ「覚書」は今も生き続けており、遵守されなければならない沖縄と宮古の平和の守りの宝である。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 1971年締結された「屋良覚書」を今後も沖縄県は遵守し、日本政府にも遵守することを求めること。
2 下地島空港の米軍使用はもとより、自衛隊の使用も、軍民共用も認めないこと。