陳情文書表

受理番号第98号 付託委員会米軍基地関係特別委員会
受理年月日令和6年7月8日 付託年月日令和6年7月18日
件名 相次ぐ在沖米軍兵による性的暴行事件に関する陳情
提出者嘉手納町議会議長
仲村渠 兼栄
要旨

 令和5年12月24日、嘉手納基地所属の米空軍兵が、沖縄本島中部で16歳未満の少女を車で誘拐し自宅に連れ去り、同意なく性的暴行を加える事件が発生していたことが、6月25日の報道により明らかになった。那覇地方検察庁が今年3月下旬にわいせつ目的誘拐及び不同意性交等罪で起訴していたにもかかわらず、起訴から約3か月もの間、外務省は県警察や那覇地検の判断を理由に、県・防衛省に情報提供していなかったことが分かった。また、今年5月下旬にも在沖米海兵隊員が沖縄本島の建物内で女性の首を後ろから絞め性的暴行に及び、けがを負わせたとして不同意性交致傷の容疑で県警が逮捕していたことも発覚した。
 このような卑劣な蛮行は被害者の人権をじゅうりんする重大かつ悪質な犯罪であり、断じて許すことはできず、基地周辺住民に与えた衝撃と不安は計り知れない。本土復帰後、令和4年度までの50年間で米軍人・軍属等による殺人や強制性交等の凶悪犯は584件、強制わいせつなどの風俗犯は79件にも上り、後を絶たない状況にある。本町議会は、米軍人・軍属等による事件・事故が発生するたび、繰り返し綱紀粛正の徹底及び抜本的かつ具体的で実効性のある再発防止策を講じるよう強く求めてきた。しかし、またしても卑劣で悪質な事件が発生したことは、米軍自らの組織に対する教育や管理体制が不十分であり、これまでの対策は実効性がないものと断じざるを得ない。
 被害者や御家族、関係者のプライバシー保護は最優先しなければならないが、情報提供がなければ自治体は住民を守る対策を講じることもできず、今回、迅速な情報提供がなかったことは誠に遺憾である。
 ついては、町民の生命、安全安心で平穏な生活を守るため、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 速やかに被害者への謝罪及び完全な補償、丁寧な精神的ケアを行うこと。
2 軍人・軍属等の管理・教育を徹底し、綱紀粛正を図ること。
3 抜本的かつ具体的で実効性のある再発防止策を講じ、速やかに公表すること。
4 在日米軍に係る事件・事故が発生した場合は、基地周辺自治体へ速やかに情報提供すること。5 「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(CWT)」を再開すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
【知事公室】
(1前段「速やかに被害者への謝罪及び完全な補償を行うこと」、2から5までについて)
県は、昨年12月と本年5月に発生した米軍人による性的暴行事件等について、日米両政府に対し、リバティ制度における外出制限措置の更なる厳格化や隊員教育の徹底、より実効性のある再発防止策を早急に講じ、その内容を県民に公表すること、被害者に謝罪するとともに被害者に対する適切な補償を遅滞なく実施すること、CWTを速やかに開催することなどを求めたところです。
さらに、1997年の日米合同委員会合意に基づく通報体制が十分に機能せず、県への連絡が一切なかったことは、再発防止や県民、地域住民の安全確保の観点から、大きな問題であったと考えており、県は日本政府に対し、県への通報を徹底するようあわせて要請したところです。
その後、7月5日、林官房長官からも、その必要性を踏まえ、地方公共団体に対して、情報伝達を行うことが示されております。
また、同月11日には、再発防止に向け、駐日米国大使と第3海兵遠征軍司令官が連名で、沖縄に駐留する米軍兵士の訓練と教育を改善するための対策を講じることを表明しており、同月22日には、在日米軍司令官が日本政府と連携して在日米軍、沖縄県、地域住民との協力のための新しいフォーラムを創設することなどを発表しております。
県としては、日米両政府及び米軍に詳細を確認するとともに、より実効性のある再発防止策となるよう求めてまいります。

【こども未来部】
(1(後段「丁寧な精神的ケアを行うこと」について))
県では、平成27年2月に沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センター(以下「同センター」という。)を開設し、令和元年8月の病院拠点型移行と同時に24時間365日体制で相談を受付けています。
同センターでは、精神的ケアとして希望者に対し、臨床心理士によるカウンセリングを実施しております。カウンセリングにおいて、相談者が希望し、継続的な支援が必要と判断した場合には、適切な医療機関等へ繋ぐなど、相談者の心身の状態やニーズに応じた支援を行っているところです。
また、性暴力被害者への支援体制を強化し、効果的な支援につなげるため、関係機関と運営連絡会議を開催し、連携強化を図るとともに、医療従事者等関係者向けの研修を実施することで、同センターの役割と機能の周知に努めているところです。
県としましては、性暴力被害にあわれた方に対して必要な支援が行き届くよう、県民をはじめ関係機関に対し、より一層、同センターの周知啓発に努め、引き続き相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。