陳情文書表

受理番号第118号 付託委員会総務企画委員会
受理年月日令和2年7月7日 付託年月日令和2年7月13日
件名 沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例に関する陳情
提出者沖縄県マリンレジャー事業者団体連合会
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要旨


 沖縄県のマリンレジャー事業者は、平成5年に公布され平成6年に改正された「沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」(以下「水上安全条例」という。)に従い営業を続けている。
 最後の改正から25年以上が過ぎマリンレジャーの業種も増えたことで、対象とならない業種の無秩序な乱立も目立ち、事業者としてコンプライアンス遵守に対する意識も希薄になっている現状がある。
 新型コロナウイルスの影響で、深刻な状況が続く沖縄県の観光産業であるが、持続可能な健全な発展を目指すには、現状に即した水上安全条例を官民一体となり、つくり、守ることが重要だと考える。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。         
                  

1 全てのマリンレジャー事業者は、現在の「届出制」から、開業及び営業に伴う一定基準を満たすことを条件とする「認可制」へと変更し、行政が営業許可や取り消しを含む罰則を与えることを可能とすること。
2 水上安全条例の改正を検討する際に、実情を把握している民間団体代表を参加させること。
3 営業許可を受けた事業者の情報は公表すること。
4 直接ゲストの命を預かることになるマリンレジャー事業者は、最低1年に1回一次救命処置と海域でのレスキュートレーニング参加を条件としている、SDO認証制度に準じる制度を義務化すること。
5 海域レジャー事業届出書の現行種別「プレジャーボート提供業」から、新規種別として「カヤック・カヌー業」を追加すること。また、事業者は一定基準のカヤック・カヌーの資格取得を義務化すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者公安委員会
報告内容

(処理経過及び結果)
1 「届出制」から「許認可制」に変更することについては、憲法においては公共の福祉に反しない限り、職業選択、営業の自由を保障していることから、その営業を禁止することは行政目的を推進するために、より制約的ではない他の手段がないかといった点の検討を含め、慎重に検討した結果、令和3年第1回沖縄県議会(2月定例会)に提出し可決された改正水上安全条例において、新たに「事業の停止等」を規定し、条例における安全対策上の義務規定に違反した場合及び罰則に該当する行為をした場合において、遊泳者その他の海域等利用者の生命、身体及び財産を保護するために、特に必要があると認める場合に事業の「全部又は一部に停止」を命じ、さらに欠格事由に該当した場合に事業の「廃止」を命ずることができるとし不適格者等の排除が可能であることから、引き続き、現在の届出制で安全対策の措置を講ずるべきものと考えております。

2 水上安全条例を改正する際の民間団体等の参加につきましては、昨年7月には、マリンレジャー関係団体(22団体)等に対し、水上安全条例の改正に関するアンケートを実施して意見を取りまとめたほか、昨年9月から11月の間(3回)、開催されたマリンレジャー関係業者等を委員とする「水難事故防止に関する有識者会議」の提言結果、行政手続法に基づくパブリックコメントの実施結果等を踏まえ、検討した結果、水上安全条例の改正作業を進め、令和3年第1回沖縄県議会(2月定例会)に、水上安全条例の改正案を提出し、可決されたところであります。

3 「営業許可」を受けた事業者の情報の回覧については、水上安全条例では「届出制」となっているところ、届出業者等の情報については、従来から個人情報に該当しない範囲において情報を提供しているところでありますが、検討した結果、令和2年9月22日から県警察のホームページにおいて届出業者の一覧表を公開しており、今後、適宜、更新することとしております。

4 SDO認証制度に準じる制度の義務化の要望について、条例や規則の在り方に改善すべきところはないか、関係機関団体と連携するほか、水上安全条例の目的との整合性、事業者に義務を課す必要性の有無や程度等について検討した結果、マリンレジャー事業者に対する一次救命措置や海域でのレスキュートレーニング等の各種講習の受講については、改正条例において、海水浴場、プレジャーボート提供業及びスノーケリング業に対し「事業に従事する者、水難救助員、スノーケリングガイドの知識及び能力の向上を図ること。」と努力義務を新設しております。
また、一次救命措置や海域でのレスキュートレーニング等の各種講習を年1回以上受講している事業所については、水上安全条例で定める「安全対策優良海域レジャー提供業者」を指定する要件の一つとすべく、改正条例の施行に併せて規則を改正しているところであります。
このほか、同認証制度の認証要件である「反社会的勢力に属していないこと」については、改正条例において、先述1のとおり不適格者を排除することとしております。

5 「カヤック・カヌー業」の追加及び、当該事業者に対する一定基準の資格取得の義務化につきましては、条例や規則の在り方に改善すべきところはないか、関係機関・団体と連携するほか、先述の「水難事故防止に関する有識者会議」の提言結果、また過去における県内事業者に係るカヤック・カヌーの水難事故の発生が極めて少ない状況等を検討した結果、現行の水上安全条例上の安全対策措置のほか、カヤック・カヌー等の民間指導団体等による安全対策も有効に機能しているものと判断でき、いまだ事業者に義務を課す必要性が高い、つまり「立法事実」があるとまでは言えない状況であることから、引き続き、現行のプレジャーボート提供業として安全対策等の措置を講じていく考えであります。