陳情文書表

受理番号第74号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和2年6月24日 付託年月日令和2年7月13日
件名 沖縄県環境基本条例に基づき竹富島住民の生活を守ることに関する陳情
提出者地縁団体法人 竹富公民館
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要旨


 私たちには、先人が残した努力のたまものであり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「竹富島のまちなみ」をはじめ、海域を含めた自然環境と文化的景観を将来の世代に引き継ぐ責務がある。また、私たちは、保全優先、美しい島を守ることを理念とした「竹富島憲章」を定め、30年余にわたり守り続けており、この理念は、沖縄県環境基本条例(以下、「条例」という。)の基本理念と同様である。
 今回、株式会社アールジェイエステート(以下、「本件事業者」という。)が申請した「(仮称)竹富島コンドイビーチリゾート事業計画」(平成29年1月23日土建第1611号都市計画法第29条の規定による開発行為許可。以下、「本件事業」という。)は、私たちが守り続けてきたものを著しく侵す開発行為であり、「竹富島憲章」を遵守する住民の生活環境の脅威となるため、以下の点において到底認めることはできない。
 ①本件事業は、平成27年3月31日開催の平成26年度竹富公民館定期総会において反対決議がなされており、住民の理解が得られていない。さらに、本件事業により、増加する入域観光客及び宿泊者によってもたらされるオーバーユースによって竹富島において様々な負担を強いることになるとの認識が欠如しており、県民はおろか、全国的にも親しまれている、優れた自然景観・文化的景観を破壊する懸念がある。この点において、本件事業は条例3条を遵守していない。
 ②竹富島は石垣市との給水協定に基づいて水の提供を受けており、その使用量には協定上の限度があるが、本件事業によってその限界を超え、島全体が水不足に陥る懸念がある。また、コンドイ浜への事業排水(予定されている浄化槽の処理能力が周辺海域のサンゴの減少や死滅を予防する水準には至っていない。)、光害、焼却炉から排出されるばい煙や産業廃棄物等の搬出、営業車両の増加によって生じる竹富島の自然環境への負荷は非常に重大である。本件事業者は、事業者にばい煙、汚水等の適正処理や環境保全のための必要な措置を講ずべきとする条例第5条を遵守していない。
 ③西表石垣国立公園第2種特別地域及び海中公園地区至近に計画されている本件事業によって、事業排水等の流入による汚染や富栄養化によるコンドイ浜海域の環境変化が懸念され、石西礁湖の環境を破壊するおそれがあるにもかかわらず、県はこれらを一切調査・指導せずに本件事業を認めているほか、本件事業者は、潮流の影響によって浄化槽地下浸透水が生じる石西礁湖北礁海域公園地区のサンゴ礁への環境負荷などを考慮していない。さらに竹富島内に生息する国指定天然記念物のリュウキュウキンバト、セマルハコガメ等や沖縄県レッドデータブックに掲載されているヤエヤマキクガシラコウモリ、オオクイナなどの哺乳類・鳥類、リュウキュウチシャノキ等の種子植物の生態調査を実施はおろか情報公開等もしておらず、条例第6条及び第16条を遵守していない。
 ④条例第4条は、沖縄県にも条例の基本理念を達成すべく様々な責務を負わせており、当然のことながら県は条例上の責務を果たしていない事業者に対して適切に指導すべきであるが、私たちは、本件事業者及び県はその条例上の責務を果たしていないと判断しており、本件事業の運び方に不安を覚えざるを得ない。
 ついては、県は条例の理念にのっとり、本件事業者を指導するよう配慮してもらいたい。