陳情文書表

受理番号第177号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和6年9月30日 付託年月日令和6年10月8日
件名 沖縄市泡瀬干潟埋立地(潮乃森)の載荷盛土(高台)の利用に関する陳情
提出者泡瀬干潟を守る連絡会
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要旨

 沖縄県は令和4年度から令和5年度にかけて中城湾港(泡瀬地区)緑地整備工事を実施し、潮乃森人工ビーチ近くに約2630平米の載荷盛土(高台)を沖縄総合事務局の認可を得て建設した。目的は、将来駐車場になる予定地の軟弱地盤の評価(圧密沈下、液状化)を行い、圧密沈下に対して評価に応じた対策工である。この工事は、津波来襲時の避難場所として行われたものではなく、近い将来、地盤が強化されれば撤去される。
 沖縄市は潮乃森人工ビーチの部分活用を構想し、その実施に向けて令和3年度から準備を進めていたが、当初は人工ビーチが絶滅危惧種コアジサシの繁殖地であることや津波避難場所(高台)がないことから、部分活用は実施できなかった。そんな中、令和5年3月、沖縄県による載荷盛土(高台)ができたことから、沖縄市は令和6年、コアジサシの営巣時期(4月から7月まで)を除く8月から9月までの土日に潮乃森人工ビーチの部分活用としてビーチフェスタを実施した。実施前の7月31日には潮乃森ビーチで盛土(高台)への津波避難訓練も実施したことから、津波対策は十分と期待していた。しかし最終日、泡瀬干潟を守る連絡会が現場を確認したところ、沖縄市の津波に対する認識のなさを見せつけられた。ビーチフェスタの参加者は約5000名ほどだったが、盛土(高台)における津波避難対策の場所としての対応は全くなされていなかった。高台にあったのは小さなテント(約10名収容)1つだけで、避難所に設置されるはずの水保管庫・臨時食糧保管庫・トイレ・避難者が入るテント(約1193名収容予定、沖縄市試算)等は全くなく、草の生えた荒涼台地だけであった。フェスタ実施中には日向灘地震が起こり、南海トラフ地震臨時情報が発表されている。潮乃森では事前に避難訓練を実施したのに、それらが全く生かされなかったことになる。泡瀬に到達する津波の最大遡上高は6.3メートル、到達時間は地震発生後31分である。それがいつかは想定できないし、いつ来襲しても備えは十分でなければならない。
 沖縄市が委託した潮乃森地区避難計画等検討業務委託報告書(令和5年3月)では「人工ビーチ部分使用時に島内避難を行う場合の津波避難施設は、海浜緑地内で健康医療施設用地の東側に整備されている載荷盛土を想定する。面積は2630平米あり、盛土の天端高は浸水深を上回っている。」と記載されている。これを理由に沖縄市は載荷盛土を津波避難場所として使うことにしたが、さきに記したように、この載荷盛土は近い将来撤去されるものである。
 今回の人工ビーチ部分使用時には幸いにも津波来襲はなかったが、津波が来襲した場合、命に関わる惨状も想定される。その惨状の責任は、当事者の沖縄市にあることは当然であるが、載荷盛土の利用を許可した沖縄県の責任も問われる。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 次年度も沖縄市がビーチフェスタ(人工ビーチ部分活用)を実施するとき、載荷盛土が津波避難場所として機能するように、県は沖縄市を指導(避難者を収容するテント設営、飲料水保管庫・食糧保管庫の設置、トイレの設置、緊急医療施設の設置等)すること。
2 次年度も沖縄市がビーチフェスタ(人工ビーチ部分活用)を実施するとき、建設した載荷盛土が津波避難場所として利用できるのか、沖縄市は専門家の意見を聴取するよう指導すること。
3 記事項1及び2が実施されなければ、県は載荷盛土の利用を許可しないこと。