陳情文書表

受理番号第121号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和2年7月7日 付託年月日令和2年7月13日
件名 「世界ウチナーンチュセンター(仮称)」の設置に関する陳情
提出者世界ウチナーンチュセンター設置支援委員会
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要旨


 沖縄県から海外へ移民を送り出して100年余りが経過し、海外のウチナーンチュと沖縄県の尽力により、移民の歴史の上でも特筆すべき世界ウチナーンチュの国際的組織(グローバルコミュニティー及びネットワーク)が形成されてきた。
 これは移民県沖縄が世界に誇る歴史的遺産であり、ルーツである沖縄県で開催される世界のウチナーンチュ大会は、共生・協和を象徴する地球的規模の行事として成長している。大会を支える世界のウチナーンチュの存在は、周知のとおり沖縄県のかけがえのない財産である。これらの人々の絆に基づくウチナーンチュネットワークは、「世界のウチナーンチュの日」制定、ホームページによる情報発信や諸行事の開催などにより強化されている。以上のように、ウチナーンチュネットワークは強力なソフトパワーとなってきた。これを将来に向けてさらに強固なものとして継承・構築していくことが沖縄社会のさらなる発展に資する。
 さらに、海外のウチナーンチュ子弟が、一世移民の居住地域を超えてグローバルに流動・拡散しつつある状況を考えると、将来にわたるウチナーンチュネットワークの維持・強化発展のための拠点が求められる。 
 ついては、ウチナーンチュネットワークを統括するムートゥヤー(本家)として、下記事項に掲げる機能を有する世界ウチナーンチュセンター(仮称)を設置するよう配慮してもらいたい。
                 

1 世界のウチナーンチュ大会の実施やネットワーク維持管理・強化のための官民協働によるウチナーンチュネットワーク統括室として、県民はもとより世界のウチナーンチュ相互の交流を促進する機能
2 沖縄を離れ国内・国外へ移動した人々の文書資料、写真、映像資料及び音声資料などの収集・整理・閲覧・展示機能
3 沖縄パンアメリカン連合会などの民間交流諸団体及び世界ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション(WUB)や世界若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)などの移民や国際交流に関わる諸団体の共同スペース
4 県外で亡くなった初期移民を顕彰する場
5 ルーツの検索など、海外での移動先や沖縄の出身地についての双方向的な移民情報レファレンスサービス
6 県内外のウチナーンチュ子弟のために、教育プログラムの立案や教育活動のための研修室
7 ライブやイベントを開催できる日常的に利用可能なカフェなど、若者が日常的に気軽に集える場所や多数の県民が参加可能なホール
8 留学生・研修生を支援するための研修室や簡易宿泊施設
9 移民先各国の物産、世界のウチナーンチュによるグッズの展示、技術などのビジネス情報の発信サービスを実施する場
10 日本語・英語・スペイン語・ポルトガル語などの講習を行う場

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
県では、ウチナーネットワークの継承・発展を図るため、「世界のウチナーンチュ大会」の開催、「世界のウチナーンチュの日」の普及啓発等、各種施策に取り組んでいるところです。
 「世界ウチナーンチュセンター(仮称)」の設置については、過去において、類似施設の建設基本計画の策定まで実施しましたが、その後の財政状況の悪化、それに伴う行財政改革等による所謂ハコ物建設の見合わせを経て、平成19年度に知事が計画の廃止を決定し、確保した用地を平成26年度に売却しております。
 県としましては、ウチナーネットワークの継承・発展を目指し、関係団体や海外県人会等と意見交換を行いながら、令和3年4月、①人的ネットワークの継承、②情報発信と集約、③交流促進、④相談窓口、⑤歴史継承の五つの機能を総合的に担う「ウチナーネットワークコンシェルジュ」を、JICA沖縄センターと連携し、設置したところです。
 また、世界のウチナーンチュの交流拠点の設置について、独立行政法人国際協力機構JICAと連携し、既存施設の活用を含め、現在の「ウチナーネットワークコンシェルジュ」の機能を拡充しつつ、その設置に向けて取り組んでまいります。
 引き続き、関係団体等と意見交換を行いながら、必要な機能について検討してまいります。