陳情文書表

受理番号第133号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和2年7月27日 付託年月日令和2年9月15日
件名 中華民国(台湾)の世界保健機関(WHO)等の国際組織への参加に関する陳情
提出者台北駐日経済文化代表処那覇分処
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要旨


 現在、新型コロナウイルスの感染は日々拡大している。このコロナ禍を乗り越えるには各国の連携が必須であり、この連携に決して地理的空白を生じさせてはならない。現在生じている地理的空白は、特定の国の論理や抵抗によるものであり、台湾は不当な差別を受けている。国際民間航空機関(ICAO)についても、台湾は加盟が認められておらず、新型コロナウイルスの空路による感染防止対策に関する情報提供がないため、台湾独自で行う空港などでの水際対策に莫大な費用負担を強いられている。
 台湾は公衆衛生の経験、医療システム、国民皆保険制度、防疫上の迅速検査及びワクチンと製薬開発の能力などを有しており、いずれも世界と分かち合えることから、世界の公衆衛生等へ貢献できることを願っている。
 ついては、日本政府への意見書等を通して、WHO等の国際組織に対し、台湾の参加を働きかけるよう配慮してもらいたい。

意見書


台湾の世界保健機関(WHO)への参加を求める意見書

 台湾と本県は地理的に非常に近いことから地域間交流が活発に行われ、令和元年度の外国から本県への入域観光客数約249万人のうち、台湾からは約86万人の観光客が訪れており、本県にとって大事なパートナーとなっている。
 本県議会においても、平成5年10月に「琉中親善沖縄県議会議員連盟」を設立し、本県及び台湾間の友好親善関係を増進し、伝統的友好親善を継続発展させることを目的に、経済、文化、スポーツなどの諸分野における交流拡大・促進を行ってきたところである。
 このような国際交流の進展に伴い相互理解が図られる一方で、新型コロナウイルス感染症などの国境を越える感染症の蔓延など世界規模の課題に対しては、これまで以上に関係各国・地域との連携が必要となる。
 今後、感染症の世界的流行に対峙して多くの命を救うためには、公衆衛生上の成果を上げた台湾をはじめ、世界中のあらゆる情報・知見を総動員して対処していくことが重要である。
 世界保健機関(WHO)憲章では、「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人権、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」と掲げているにもかかわらず、2009年から2016年までWHO年次総会へのオブザーバー参加を認められていた台湾を2017年以降排除してきたことは、この基本理念に反するものであり、特定の地域が取り残されることによる地理的空白を生じさせないことが、世界全体の感染拡大防止の目的にかなうものである。
 よって、国においては、関係各国・地域と連携し、台湾のWHO参加実現に向けてこれまで以上に同機関への働きかけを強化するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  令和2年10月13日
                                                      沖縄県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官 宛て