陳情文書表

受理番号第213号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和6年12月2日 付託年月日令和6年12月9日
件名 県による開発許可制度の違法な運用の是正と石垣市白保のリゾートホテル建設計画に対する開発許可の取消しを求める陳情
提出者白保リゾートホテル問題連絡協議会
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要旨

 石垣市白保の大規模リゾートホテル建設計画に対する開発許可は、許可後6年以上も放置されている。それは、そもそも県が許可手続を違法に行っていることに加え、許可後も国が定めた指針どおりに対応していないことに原因がある。また、許可を受けた事業者も許可後に必要な届出の提出や変更許可の申請を怠り、工事期間を明らかにしないまま違法に放置している。
 県は開発許可申請において、法定記載事項である工事着手予定年月日及び工事完了予定年月日が未定の状況で、不備のある申請が行われた場合には、補正を求めるか、または不許可とするべきところ(行政手続法第7条及び沖縄県行政手続条例第7条)、着手予定を「許可次第」と記載し、完了予定を空欄にした状態で許可を行っている。この手続について県は、工事着手前に建物等の詳細設計や他法令に基づく手続が行われる事業もあることから、着手予定日は「許可次第」、完了予定日は「未定」の状況において、許可を行う場合もあると主張したが、法定記載事項に関しこのような手続を行うことについての法的根拠は示されなかった。県が行っているこの運用は、明らかに行政手続法及び沖縄県行政手続条例に違反する。念のため、県外の九つの自治体に対して聞き取りを行ったが、他の自治体では法令どおり運用されており、不備のある申請に対しては、補正を求めるか、不許可としている。国土交通省都市局都市計画課の担当者は、県の運用について「法の想定外」の運用であり「好ましくない」と評している。
 都市計画運用指針では、「開発許可後の進行管理等」として「(1)開発許可した案件については、適宜工事施行状況の報告を求める等工事の実施状況の把握に努めること。」と定められているが、石垣市白保のリゾートホテル建設計画に対して行われた開発許可に対して、県は、許可後6年以上工事の進捗状況の把握をせず、当会からの指摘を受けて、慌てて今年の9月に初めて聞き取りを行っている。県が違法な手続によって引き起こした状況は、ずさんな県の管理によって、6年以上も継続する事態になっていることが明らかになった。
 また、開発許可を得た地位を合併によって承継したA株式会社は、現在まで6年以上も工事に着手せず、工事着手予定年月日を徒過しているが、工事着手予定年月日及び工事完了予定年月日の変更届を提出していない。各予定年月日を変更したときは、遅滞なく変更届を提出しなければならないところ、届出未提出の事実は都市計画法第96条に該当し、20万円以下の過料に処せられるべき状況である。さらに、工事施工者とされているB株式会社は、地域住民の同意が得られていない現状では工事施工者にはならないことを表明しているが、A株式会社は工事施工者を変更するための変更許可申請を提出していない。
 以上の状況は、都市計画運用指針に定める開発許可取消しの判断基準「工事完了の意思があるとしながらも、客観的に見て工事完了の意思ないし能力を欠いていると認められるものについては許可を取り消すこと」及び開発許可制度を定める都市計画法の逐条解説に記載されている取消し判断基準「工事完了期間を徒過してなお工事未着工のものについては、適宜事業者から報告を求める等により、工事の実施状況の把握に努め、工事完了または廃止の手続の時期を明らかにするよう指導し、必要な場合には許可を取り消す」のいずれの判断基準にも相当する状況にあることから、当該開発許可を取り消すべきであると考える。
 ついては、県による開発許可制度の違法な運用を是正し、石垣市白保のリゾートホテル建設計画に対する開発許可を取り消すよう配慮してもらいたい。