要旨
「主要農産物種子法」(以下「種子法」という。)は、基本理念として米、麦、大豆などの主要5品目農産物の良質な種子の開発や種子を安定的に生産・普及させることを国及び各都道府県に対して義務付ける法律であった。しかし、2018年4月に種子法が廃止され、様々な農産物種子の開発や生産普及のための人材育成や公共種子の知見維持が脅かされ、沖縄県の特色ある地域農業や独自の食文化の持続的な発展が困難な状況になりつつある。例えば「農業競争力支援法」では、各都道府県の保有する種子に関する知見は民間企業に提供することが明記され、地域のあらゆる種子やその情報データ、新品種開発に必要な原種・原原種まで含めたあらゆる種苗についての知的財産を提供することとなる。さらに「種苗法」の改正案は種苗の自家増殖を許諾制にし、農家に許諾料の負担を求めるものであり、沖縄県の場合もサトウキビやカンショ、シークヮーサーなどの自家増殖が該当すると言われ、地域の農業者の負担が増える。地域資源である「多様な公共種子」は、規制改革の名の下に民間企業に移行されようとしているが、命をつなぐ種子の存続には公共性を残さなければならない。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 沖縄県独自の生物多様性種子条例の制定を検討すること。
2 調査研究や農業者も含めた幅広い分野から成る有識者会議を設置すること。 |