請願文書表


受理番号第10号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和6年10月1日 付託年月日令和6年10月8日
件名 教職員の働き方改革とメンタルヘルス対策の一体的な取組に関する請願
提出者沖縄県教職員組合
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紹介議員米須 清一郎、西銘 純恵、仲村 未央、當間 盛夫、平良 識子、徳田 将仁、松下 美智子
要旨

 令和6年6月時点で県内公立学校の教職員の未配置数は35人、このうち学級担任の未配置は14人だった。年度途中の未配置や担任、教科担任の途中交代は、児童・生徒にとって教育環境の大きな変化であり、学びへの影響が深刻である。一方、教職員にとっては欠員が続く間の業務分担や業務の引継ぎなどが職場全体への負担となり、結果として児童・生徒への対応に影響が出ている。教職員定数法を改正し教職員の数を増やすとともに、業務量を減らして超過勤務をなくしていくことが必要である。教職員定数法が改善されるまでの間、暫定的な対応として、授業を担うことができる非常勤講師や教職員の授業以外の業務を担える教員業務支援員、就職支援員など会計年度職員の配置といった県予算での人員配置が必要であり、非常勤講師を増員するためにはその処遇改善も併せて求められる。
 文科省によると、令和4年度沖縄県公立学校教職員の精神疾患による病気休職者は、前年度より30人増の229人、全教職員に占める割合は1.45%で、全国の2倍を超えている。県教育委員会(以下「県教委」という。)は令和6年6月議会で、令和2年度の病気休職者(389人)に伴う臨時教職員の人件費は、約18.1億円に上ると答弁した。病気休職者を減らすことにより、代替の臨時教職員の人件費を必要な教育施策に回すことが可能になる。また、令和5年度公立学校教員のメンタルヘルス対策調査研究事業の事業成果報告書において、那覇市立小中学校の病気休職者のうち、復帰後4分の1の教職員が再発し、再発率は年々上昇していることが明らかになった。病気休職から復職しても、再度休職する状況が生じていることは深刻な問題である。
 今年3月、県教委は働き方改革とメンタルヘルス対策を一体的に進めるため「私たちのピース・リスト2023」にて短期・中期・長期目標を50項目掲げている。そこには「復職に向けた体制の充実」が記載されており、職員の状況を確認しながら実効性のある復職に向けた体制、復職支援プログラムを充実させなければならない。具体的には、休職者代替の臨時的任用職員の引継ぎ期間を設けて復職時の業務を減らす、復職に向けた面談を管理者に限定するのではなく、専門家(産業医や保健師)を選択できるようにするなど、復職支援のための人的配置が不可欠である。病休中の教職員が安心して療養でき、希望を抱いて復職できる仕組みを構築し再発率を抑えることは、精神疾患による病休者を減らすことに直結する。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 教職員の働き方改革を加速させ、児童・生徒へのきめ細やかな対応が可能となるよう早急に人員を確保し、学習を保障すること。
2 効果的なメンタルヘルス対策とするため、復職支援プログラムについて、病気休職者が安心して療養し、万全の態勢で復職できるよう可及的速やかに改善・実施すること。
3 記事項1及び2を実現するため、国に財政支援を求めるなど、必要な財源確保に全力を挙げること。
4 県知事と県教育長両名による「学校の健康経営宣言」を行うなど、県民一体となって学校の働き方改革とメンタルヘルス対策を進める機運を高めること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者教育委員会
報告内容

1 県教育委員会では、教員確保に向け、教員選考試験制度改革や県内外における各種セミナー及び大学生へのリクルート活動など、様々な取組を行っているところであり、引き続き、全庁体制で取り組んでまいります。
また、教員以外の専門スタッフ等の配置は、教員の長時間勤務の縮減及び負担軽減に有効であると考えており、今後とも、県立学校や市町村教育委員会の要望に添えるよう予算の確保に努めてまいります。
2 メンタルヘルス対策において、精神疾患の予防及び復職支援は重要な柱であります。
県教育委員会では、精神疾患により休職中又は病気休暇取得中の県内公立学校教職員を対象として、円滑な職場復帰及び再発防止を目的に復職支援プログラムを策定しております。
当該プログラムの実施にあたっては、服務監督権者である各教育委員会と学校が連携し、復職が具体的に想定される段階において、希望する職員に対し、所属する学校で、復帰後の勤務を想定して、校内に滞在する時間や活動内容等を職員の状況等に応じて段階的に調整しながら職場復帰に向けて取り組むものとなっております。
県教育委員会としましては、プログラムの意義や必要性に関する理解啓発及びその実施体制や内容等の改善・充実を図るとともに、市町村教育委員会等とも連携協働して、教職員が安心して療養及び復職できる環境の整備に努めてまいります。
3 県教育委員会としましては、引き続き、教職員定数の拡充及びメンタルヘルス対策の充実等について、全国都道府県教育長協議会等を通して国に要望してまいります。
4 学校における働き方改革と教職員のメンタルヘルス対策を一体的に推進するためには、護者や地域の理解と協力が必要であり、県教育委員会では、これまで、市町村教育委員会教育長との臨時の連絡会議の開催や沖縄県総合教育会議における県知事との協議、初の試みとなる教育長によるSNS での動画発信等に取り組んでまいりました。
令和6年3月に策定した公立学校における働き方改革推進計画「みんなの学校!ピースフル・プラン」及び働き方改革の取組目標「私たちのピース・リスト2023」においても、教職員のメンタルヘルス対策の充実に向けた事項を掲げ、県内公立学校の全教職員等へのリーフレットの配布、各地域における研修会や協議会への参加、PTA等の関係団体との意見交換等を積極的に行いながら、全県的な取組の推進に向けて保護者や地域の理解啓発を図っております。
また、令和4年8月には、教育長等の各任命権者が賛同し、県知事を代表として、「うちなー健康経営宣言」を行い、時間外勤務の縮減やメンタルヘルス対策等、職員の健康保持・増進、働きがいのある職場づくりに取り組むことを公表しております。
県教育委員会としましては、引き続き、県全体で機運醸成を図り、市町村教育委員会等とも連携協働して、働き方改革とメンタルヘルス対策を一体的に推進してまいります。