要旨
令和6年6月時点で県内公立学校の教職員の未配置数は35人、このうち学級担任の未配置は14人だった。年度途中の未配置や担任、教科担任の途中交代は、児童・生徒にとって教育環境の大きな変化であり、学びへの影響が深刻である。一方、教職員にとっては欠員が続く間の業務分担や業務の引継ぎなどが職場全体への負担となり、結果として児童・生徒への対応に影響が出ている。教職員定数法を改正し教職員の数を増やすとともに、業務量を減らして超過勤務をなくしていくことが必要である。教職員定数法が改善されるまでの間、暫定的な対応として、授業を担うことができる非常勤講師や教職員の授業以外の業務を担える教員業務支援員、就職支援員など会計年度職員の配置といった県予算での人員配置が必要であり、非常勤講師を増員するためにはその処遇改善も併せて求められる。
文科省によると、令和4年度沖縄県公立学校教職員の精神疾患による病気休職者は、前年度より30人増の229人、全教職員に占める割合は1.45%で、全国の2倍を超えている。県教育委員会(以下「県教委」という。)は令和6年6月議会で、令和2年度の病気休職者(389人)に伴う臨時教職員の人件費は、約18.1億円に上ると答弁した。病気休職者を減らすことにより、代替の臨時教職員の人件費を必要な教育施策に回すことが可能になる。また、令和5年度公立学校教員のメンタルヘルス対策調査研究事業の事業成果報告書において、那覇市立小中学校の病気休職者のうち、復帰後4分の1の教職員が再発し、再発率は年々上昇していることが明らかになった。病気休職から復職しても、再度休職する状況が生じていることは深刻な問題である。
今年3月、県教委は働き方改革とメンタルヘルス対策を一体的に進めるため「私たちのピース・リスト2023」にて短期・中期・長期目標を50項目掲げている。そこには「復職に向けた体制の充実」が記載されており、職員の状況を確認しながら実効性のある復職に向けた体制、復職支援プログラムを充実させなければならない。具体的には、休職者代替の臨時的任用職員の引継ぎ期間を設けて復職時の業務を減らす、復職に向けた面談を管理者に限定するのではなく、専門家(産業医や保健師)を選択できるようにするなど、復職支援のための人的配置が不可欠である。病休中の教職員が安心して療養でき、希望を抱いて復職できる仕組みを構築し再発率を抑えることは、精神疾患による病休者を減らすことに直結する。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 教職員の働き方改革を加速させ、児童・生徒へのきめ細やかな対応が可能となるよう早急に人員を確保し、学習を保障すること。
2 効果的なメンタルヘルス対策とするため、復職支援プログラムについて、病気休職者が安心して療養し、万全の態勢で復職できるよう可及的速やかに改善・実施すること。
3 記事項1及び2を実現するため、国に財政支援を求めるなど、必要な財源確保に全力を挙げること。
4 県知事と県教育長両名による「学校の健康経営宣言」を行うなど、県民一体となって学校の働き方改革とメンタルヘルス対策を進める機運を高めること。 |