陳情文書表

受理番号第69号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和2年6月19日 付託年月日令和2年6月30日
件名 沖縄県において気候非常事態宣言を行うこと等に関する陳情
提出者CEDを出そう!沖縄
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要旨


 地球で温暖化が進んでいることは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)をはじめとする多くの科学的知見によって立証されている。2019年12月開催の国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)では、世界の気温上昇を1.5度以内に抑える必要性が示され、そのためには2030年までに二酸化炭素排出量をおおむね半減し、2050年までには実質排出量をゼロにすべきとの認識が共有された。
 しかし、現時点で削減目標の達成は見込まれず、気候変動の歯止めが利かなくなるおそれがある。最近では気候危機と言われるほど、事態は切迫している。
 また、国連が進めるSDGs(持続可能な開発目標)の13番目の項目は「気候変動への具体的な対策」であり、経済界においても「持続可能な社会」の構築が最重要課題である。
 これまでに、世界の12か国及び約1500の自治体が「気候非常事態宣言」(CED)を表明し、温暖化防止に向けた様々な施策を実行している。市民活動においても、昨年9月のグローバル気候マーチには、世界150か国で400万人以上が参加するなど、多くの市民に危機感が共有されている。
 こうした中、日本では、気候変動に関する報道が海外メディアほど頻繁にはなされず、いまだ多くの市民の間で危機感が共有されているとは言えない。沖縄においても同様である。沖縄県では、これまでに各種の温暖化対策を計画・実施してきたが、今年3月に発表された2017年度の県内での温室効果ガス排出量は、県が削減目標基準年とする2000年度を2.1%上回った。2050年に実質排出量をゼロにするには、県全体で総力を挙げて、これまでにないスピードで強力に対策を進める必要がある。
 沖縄には豊かな自然環境があるが、度重なるサンゴの白化及び台風の発生状況の変化など、温暖化と気候変動の影響は沖縄においても確実に現れ、私たちの暮らしや経済活動に大きな影響を与えている。貴重な自然環境と、そこから生まれる文化を観光資源として誇る沖縄でこそ、温暖化対策を率先して進めるべき地域であり、SDGsの理念である「誰一人として取り残さない」ためにも、今すぐ対策を取ることが、沖縄社会全体にとって必要である。
 以上により、私たちは沖縄県に気候非常事態宣言を行うよう要望するが、この宣言は、社会に不安をあおるものではない。県民と広く危機感を共有し、みんなが意識と行動を変えて、よりよい未来に向かうための宣言である。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 県において、「気候非常事態宣言」を行い、温暖化を止める緊急性があることを県民に周知すること。
2 県の温室効果ガス排出削減目標を、IPCC及び国連に準じて、2050年までに実質ゼロとすること。
3 上記を実現するため、再生可能エネルギーへの転換等、温暖化対策の包括的な行動計画を速やかに立案し実施すること。
4 沖縄県、県内各市町村、研究者、企業関係者及びNPO・NGOの市民等がフラットに情報共有や意見交換を行い、これを県の施策に反映させ、また実施事業の効果を科学的に検証できるよう、温暖化対策プラットフォームを設置すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
1について
県は、気候変動問題に対して、県全体で現状認識と将来への危機感を共有し、一層取り組んでいくため、令和3年3月26日に気候非常事態宣言を行いました。引き続き、気候変動問題へ取り組む必要性について、県民に周知してまいります。

2及び3について
県は、令和3年3月に策定した第2次沖縄県地球温暖化対策実行計画に「2050年に向けて温室効果ガス排出実質ゼロを目指す」ことを長期目標として設定しました。
目標の達成に向けて、市町村、事業者、県民と連携して取り組んでまいります。

4について
県では、地球環境問題に関する取組を進めていくため、事業者団体、市民団体、学識経験者、行政等、様々な主体が参加した「おきなわアジェンダ21県民会議」を平成14年度に設置しております。
これまで、同会議との情報共有や意見交換を通じ、地球温暖化対策を推進してきたところであり、温暖化対策プラットフォームとして更なる活性化を図ることについて検討してまいります。