要旨
我が国の少子化は年々深刻の度合いを増しており、この7年間で25%超も減少した。このような状況で我が国が発展していくためには、将来を担う子どもたちの資質・能力の育成が今まで以上に重要であり、学校教育が果たすべき役割はますます高まっている。しかし、私立高等学校等を取り巻く状況を見ると、国の就学支援金制度については多くの都道府県において独自の上乗せ支援が実施され、保護者の負担軽減が図られてきた一方、私立高等学校等への助成については、経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針)においても「質の高い公教育の再生」「私学助成等の基盤的経費の十分な確保」が掲げられているものの、依然不十分なままである。
私立高等学校等への財源措置については、生徒1人当たりの単価を見ると年々増額されているが、諸物価・人件費の高騰には対応できておらず、使途が特定されている国庫補助は6分の1にも満たないことから、国の財源措置を大きく下回る府県が数多く存在し、私立高等学校等は非常に厳しい学校経営を強いられている。そのため、教育の質を向上させるためには授業料を上げざるを得ないが、授業料等の変更は届出事項であるにもかかわらず、都道府県によってはその変更が認められないといった対応が見られ、授業料の引上げは容易ではない。
ついては、私立学校振興助成法の目的に掲げられている「私立学校の教育条件の維持向上」「保護者の経済的負担の軽減」という私学振興の原点に立ち返り、私立高等学校等が自主性・独自性を生かした特色ある質の高い教育を提供できるよう、令和7年度政府予算の編成に当たっては、国庫補助である私立高等学校等経常費助成費補助金の大幅拡充をはじめ、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 私立高等学校等経常費助成費補助金の一般補助について、専任教職員給与費
を含む教育に必要な経費の膨大化等への対応、特色教育の充実等のため、拡充
強化すること。
2 私立高等学校等経常費助成費補助金の特別補助について、教員が本来の役割
を十分に発揮できるよう教員業務支援員や特別支援教育など様々な支援員の補
助に対し公立学校同様に補助するよう拡充強化すること。
3 私立中学高等学校等の就学支援金等を拡充強化することについて
(1)高等学校等就学支援金制度について、地域間格差の解消に向けた補助額の
大幅な増額など抜本的な制度拡充を行うこと。
(2)国として中学校等就学支援制度を創設すること。
(3)専攻科生徒への修学支援について高等学校教育上の一貫教育として、高等
学校等就学支援金制度の枠組みでの年収基準及び上限額の引上げを行うこと。
4 現行の就学支援金制度等では負担が十分に軽減されない保護者の負担軽減を
図るため、教育費を税額控除する「教育費減税」制度を創設すること。
5 私立高等学校等におけるICT環境の整備(端末及び通信環境)に対する補
助を拡充強化し、DX加速化推進事業を継続して実施すること。
6 私立高等学校等施設の耐震化及び高機能化に対する補助を拡充強化すること。
7 私立高等学校等生徒の海外留学、研修・修学旅行等経費への支援を拡充強化すること。
8 外国人生徒受入れのための支援等を拡充強化すること。
9 日本私学教育研究所研究事業費等に対する補助を拡充強化すること。 |