要旨
御茶屋御殿は1677年に建設され、琉球王国の迎賓館として重要な役割を果たし、琉球文化や芸能の中心地としても知られている。しかし、沖縄戦で消失し、現在はカトリック首里教会の敷地となっている。多くの市民から復元を望む声が上がり、1998年には御茶屋御殿復元期成会を設立し、これまで国や沖縄県、那覇市に復元を要請してきた。
その成果として、県は新・沖縄21世紀ビジョン基本計画と首里杜地区整備基本計画において、那覇市や国との連携を明記した。さらに、令和4年度から御茶屋御殿の事業化の可能性調査が進められ、令和6年度には費用対効果や交通計画、駐車場の配置についても検討される予定である。県は令和6年3月に沖縄県地域外交基本方針を策定し、令和6年度に平和・地域外交推進課を設置した。県は自ら主体的に海外自治体などと連携し、国際社会へ平和の重要性に関する情報を発信することや、観光・物流をはじめとする国際的な経済活動により各国・地域との関係構築を図るなど、地域の緊張緩和を目指し地域外交に取り組むこととしている。今年は、戦後80年の節目の年である。復元後の御茶屋御殿は、地域外交基本方針に沿った形で、次のような機能を備えた活用ができるものと考える。
1つ目に、迎賓館機能として、地域外交の中心を担う迎賓館として琉球王国時代の宮廷料理を復元し、各国首脳、各国自治体知事等を琉球文化・芸能でもてなし、国の外交においても迎賓館として活用する。
2つ目に、伝統文化保存継承と観光拠点機能として、琉球王国時代の宝物・文物を保存・展示する観光拠点とする。
3つ目に、平和創造発信機能(平和創造の研究・教育施設も整備する)として、県民を総動員した地上戦が行われた沖縄県だからできる平和創造発信の拠点とし、御茶屋御殿の焼失の様子等の沖縄戦に関するもののほか、インドのガンジー、ノルウェーのヨハン・ガルトゥング等各国の平和運動・研究についての展示も行う。
ついては、県が事業主体となって御茶屋御殿の復元に取り組むよう配慮してもらいたい。 |