要旨
令和6年10月23日に開催された令和6年度第1回北谷町子ども・子育て会議において、北谷町子ども家庭課より「本町における認可保育所等の各種定員と申込児童等の推移及び待機児童解消に向けた取組について」という提案があった。同提案では、「待機児童の解消と、今後新たに設けられる「こども誰でも通園制度(仮称)」や保育士配置基準の見直しなどに速やかに対応するために、新たな認可保育所等の整備が必要不可欠であると町は判断。本町内において令和3年から小規模保育所を運営する事業者から保育所を全額自費で整備したいとの申出があった。同社は令和7年度中の開所を目標に土地の取得等を既に行っている。」との説明があった。しかし、保育現場においては2010年代からの待機児童対策により保育の受皿が急激に増加した一方で、少子化・出生数低下などが顕著に進展した結果、保育園が定員割れを起こし、保育士確保のための人件費増加などの要因も重なり、保育事業の継続がままならなくなる、いわゆる「保育の定員割れ問題」が社会問題化している。この問題が進展すると、保育事業者による保育事業の継続が困難となり、閉園が連鎖し、地域の宝である子どもたちを預かる保育環境を著しく毀損し、ひいては地域の労働環境や家庭環境を存続させるための大前提が破壊されるおそれがある。実際に北谷町における出生数は、平成28年度の364人から令和4年には270人と6年間で94人減少している。また、この影響により閉園や休園予定となる保育園が出るなど、少子化・出生率低下が保育の定員割れ問題を引き起こし、保育所の閉鎖が保育環境の悪化を引き起こしている。このような問題が生じている状況において、十分な検討がないまま北谷町が新たな認可保育所整備を行なった場合、北谷町内での出生数・児童数と保育所の定員数とのバランスが崩れ、さらなる定員割れと各保育所の事業継続困難、保育環境の崩壊が生じることを町内保育事業者は危惧している。さらに職員確保に関しては、新規の保育園ができると保育士の奪い合いが起こり、引き抜き合戦やそれに伴う集団退職などの事例も起きており、保育運営が厳しくなったり在園児受入れの継続が難しい状況が出ることも危惧している。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 少子化・出生数減少等の社会変化に伴う保育園の経営悪化実態調査を実施すること。
2 新たな認可保育所の設置が既存保育園の事業継続に及ぼす影響調査を実施すること。
3 「保育の定員割れ問題」が生じ保育園の閉園が連鎖した場合に保育環境にどのような影響が生じるおそれがあるのか、細やかなシミュレーション調査を行うこと。
4 保育士不足の解消に向けた取組に当たって、新たな認可保育園の設置が保育士不足に与える影響について調査すること。
5 県内の保育環境の安定化と抱える諸問題の確実な解決のため、上記の調査を基に必要な措置・調整を講じること。 |