陳情文書表

受理番号第62号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和2年6月8日 付託年月日令和2年6月30日
件名 観光立村・座間味島に計画されている浄水場建設について、安全な場所への変更を求める陳情
提出者座間味浄水場建設予定地の変更を求める会
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要旨


 水道広域化事業については、長年水に苦しんできた離島の我々も大変感謝しているが、浄水場の建設場所の問題は住民にとって切実である。
 現予定地の阿真キャンプ場は、「世界が恋する海」とうたわれる豊かなサンゴ礁とウミガメに会える阿真ビーチに隣接し、国内外から観光客がやってくる座間味村の最重要観光地である。周辺には児童生徒交流センターや海洋体験施設など誰でも利用できる観光施設があるが、浄水場は「衛生面において保安管理が必要であり一般開放できない」施設であり、誰もが自由に出入りできる阿真キャンプ場内に建つのは不適切であり、観光にとってマイナスである。また、浄水場を守るため、今後、防護施設や関連施設が建つ心配もあり、乱開発も危惧されている。村民のほとんどが観光業に携わっていて、観光客を魅了する自然豊かなこの一帯は、村民の生活の糧でもあり島の宝である。村民の暮らしと未来を守るためにも、この場所での建設は見直してほしい。
 さらに、現予定地は「想定津波の最大浸水深が5メートル以上10メートル未満」という甚大な被害が想定されている区域に位置しており、国の指針としても、浄水場を建設する際は「原則として想定津波浸水地域外の高所を選定する」とされている。村民が安心して暮らしていくためにも、また、安全な観光地として発展していくためにも、津波被害のおそれがない高台に浄水場建設予定地を変更してもらいたい。なお、場所の見直しを求める島民の署名も過半数を超えている。
 これまで企業局が選定してきた候補地を改めて見直すと、津波被害が想定されない候補地が幾つもあることが分かったため、それらの見直しも含めて、建設地は高台で検討してもらいたいとの陳情を提出したところ、土木環境委員会での審議を経て、高台の「高月山既存浄水場周辺」「阿真チジ」「旧ごみ捨て場」の3候補地について再調査された。住民としては、ぜひともその高台で建設地を選定していただきたく、事業が速やかに進むよう、努力を惜しまず、協力していく所存である。
 同じ国立公園である隣の渡嘉敷島をはじめほとんどの周辺離島においては、津波被害を受けない高台に浄水場がつくられていることから、座間味島も他の島と同じように、安全な場所に建設していただきたい。
 ついては、企業局と村民が互いに歩み寄り、未来に誇れるすばらしい浄水場が建設されるよう、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 国内外の観光客に人気の高いウミガメと会えるビーチに隣接する自然豊かな阿真キャンプ場に浄水場を建設することは不適切であるため、再考すること。
2 離島住民の生活と観光地の安全を守るため、水道施設は、津波等の災害を受けない場所に建設すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
1及び2について
座間味島の高台地域は、自然公園法の特別地域であることから景観や造成面積、あわせて整備費用、工期等を総合的に検討し、当初、阿真キャンプ場内を浄水場の建設予定地としておりました。
しかしながら、津波被害を受けない高台への変更を求める住民からの陳情を受け、企業局としては、令和元年度、高台3カ所における建設の実現性について再調査を行い、高台候補地のうち既存浄水場用地拡張案及び当初予定地の阿真キャンプ場内案の2案に絞ったところです。
その後、令和2年6月に改めて座間味村の住民より2件の陳情が提出され、県議会において全会一致で採択されました。
県としては、ビーチ周辺の自然環境への配慮を求める住民からの意見や、県議会において陳情が採択されたことは、重く受けとめており、これらのことを総合的に判断し、高台の既存浄水場用地における建設に向けて取り組んでいくことを決定しました。
高台の既存浄水場用地における建設の際には、当該地が村有地であることから、浄水場建設事業を円滑に進めるためには、座間味村及び住民の理解、協力が必要であります。
企業局としては、村が同地域周辺を防災拠点として活用することについて設計段階から可能な限り配慮することや、工事車両等による住民生活への影響の低減について村と調整しながら、住民の生活に必要な浄水場の建設に向け取り組んでまいります。