陳情文書表

受理番号第196号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和3年9月9日 付託年月日令和3年9月28日
件名 沖縄の主体的な首里城再興に資するための首里城関連寄附金活用の在り方に関する陳情
提出者首里城再興研究会
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要旨


 琉球・沖縄のアイデンティティーのよりどころの一つとしての首里城の焼失からもうすぐ2年となるが、その再興については沖縄県民のみならず、世界のウチナーンチュ、世界における琉球・沖縄のファンを含め、県内外から大きな関心と注目が寄せられている。
 沖縄県は2021年7月30日、首里城再建に向けて県内外から集まった寄附金の使途に関し、首里城正殿の大龍柱や龍頭棟飾などの制作に充てることを定めた覚書を沖縄総合事務局と締結したと発表した。県は、これまでも正殿の柱に使う木材や赤瓦の調達などで同様の覚書を結んでいる。今後、県と国は制作物の詳細を協議し、県は正殿の工期に合わせて制作物を事務局へ譲渡するとあり、さらに、県は寄附金の使い道として、寄附者(来訪者)の目につきやすい「象徴物」への投入、そして県内に蓄積・継承されている伝統技術の活用に向けて、県産材の使用及び県内職人が関与できるものを挙げている。その金額は、寄附金総額の約52億7000万円のうち、約24億円を正殿関係の復元に充てるとしている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 首里城再興においては、第一義に沖縄の主体性を発揮すべきであり、その要となる首里城関連寄附金活用の在り方については、それぞれの執行額を確定するプロセスをオープンな議論(県議会での審議、公聴会・討論会の開催等)によって透明性あるものにすること。
2 特に象徴的な存在である首里城正殿大龍柱については、新しい知見が数多く出ているにもかかわらず、国の技術検討委員会は結論を先送りしている。執行額を確定するためにはオープンな議論が不可欠である。さらに、大龍柱等の制作に当たっては、いわゆる「平成の復元」時に大龍柱の制作に当たった関係者を中心に、県内の若手・中堅彫刻家を後継者育成として関わる体制を確立すること。
3 龍頭棟飾りの制作については、壺屋陶器事業協同組合がその中心を担うこと。さらに県内の若手・中堅陶芸家を後継者育成として関わる体制を確立すること。
4 首里城再興に関連し、石垣島並びに国頭村の天然のオキナワウラジロガシを伐採することについては、森の生態系に大きな影響を及ぼすとの指摘が多くの団体から出ていることから(今般、ヤンバルの森等が世界自然遺産に登録されたことから、厳格なアセスが必要である。)、環境影響評価を適正に行い、公開し、再検討すること。5 琉球絵画については、被災作品の復元とともに、現存する作品についても首里城内展示に向け再現模写が必要となる。これらの作業においては、これまで復元作業に携わってきた県内の諸機関を中心に、さらに若手・中堅作家が後継者育成として関わる体制を強化、確立すること。