要旨
沖縄県民や国民が反対の民意を示し続けている辺野古新基地建設に使用する埋立土砂確保のため、政府は奄美大島で現地調査を実施すると鹿児島県に通知した。辺野古・設計変更承認申請書では、奄美大島からは1190万立方メートルもの土砂調達が可能とされている。これまで防衛省は、土砂の具体的な調達先はまだ決まっていないとしてきたが、奄美大島が調達先の一つになる可能性がほぼ確実になったと言える。調査では、採石場や土砂積出し港に特定外来生物が生存していないか等を調べるとのことであり、奄美大島では、特定外来生物のニューギニアヤリガタリクウズムシ、ハイイロゴケグモ、ツルヒヨドリ、オオキンケイギク、ナガエツルノゲイトウ、ボタンウキクサ、オオフサモが確認されている。これら動植物の生息状況は、これからの秋冬の調査では確認できないおそれがあり、調達計画が安易に立てられ、沖縄県に外来生物を持ち込むことにつながるのではないかと危惧している。また、外来生物対策として大量の土砂を洗浄または熱処理できないことは明らかである。また、環境省奄美野生生物保護センターは、特定外来生物に指定されていない侵略的外来生物としてセイタカアワダチソウ、アメリカハマグルマ、メリケントキンソウなどを確認している。公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例は特定外来生物しか対象としていないため、侵略的外来生物による被害の防止には規制の強化が必要である。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例に基づき、県独自で奄美大島における現地調査を入念に行うとともに、仮に奄美大島が土砂採取地になった場合に厳格な事前審査が行えるよう、県当局に働きかけること。
2 公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例の規制対象として、特定外来生物に指定されていない侵略的外来生物を知事が指定できるよう条例改正を行うこと。 |