要旨
このたび、美ぎ島美しゃ市町村会は、宮古・八重山圏域における喫緊の課題や財政的に解決が困難な課題等を取りまとめた。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 海岸漂着物の処分について
本会市町村の海岸には毎年多くの漂着物が流れ着き、ボランティアによる海岸清掃活動によって回収されているが、市町村がごみ袋や軍手の配布、ごみの収集や処分の民間業者への業務委託等を行っている。これらにかかる費用の一部は、海岸漂着物等地域対策推進事業を活用しているが、補助金は年々減額され、各市町村の負担額が増大している。また、用地が限られる離島においては埋立処分の継続にも限界がある。
ついては、県が管理している海岸については主体的に漂着物の収集・処分を行い、漂着ごみを島外へ搬出して処分する際の費用について支援すること。
2 宮古空港の機能強化について
宮古島市では伊良部大橋開通以降、入域観光客数は増加を続け、空の玄関口である宮古空港においては、増便や航空機の大型化などによって開設当初の想定旅客需要を大きく上回っている。一方で、同空港には平行誘導路が設置されていないことや、駐機スポットが5か所と少ないことから、離発着便が重なる時間帯には航空機が乗客を乗せたまま長時間待機する事態や、離発着便の数を制限しなければならない状況も発生しており、市民や観光客の利便性、満足度に大きな影響を及ぼしている。加えて、便数や旅客数の増加に伴い輸送貨物量も大幅に増大しており、貨物取扱施設では保管スペースが不足し、入出荷作業に支障を来している。
ついては、増え続ける旅客数や輸送貨物に対応するため、平行誘導路の設置、駐機スポットの増設、貨物取扱施設の拡張など、宮古空港の総合的な機能強化に向けて取り組むこと。
3 県営宮古広域公園の早期整備について
県営宮古広域公園は、平成29年の基本計画の策定、令和2年4月の都市計画決定の告示、同年7月の事業認可と都市計画決定手続が進められており、同公園の整備については多くの市民から大きな期待が寄せられている。
ついては、地域住民の意見を十分に反映し、地域の特性を生かしたにぎわいのある拠点としての県営宮古広域公園の早期実現に向け、より一層の事業の進捗推進を図ること。
4 宮古空港横断トンネルの整備について
宮古空港周辺では、観光客の増加に加え、スポーツ観光交流拠点施設や大型集客施設が開業したことなどにより、人流・物流ともに増加している。さらに、令和3年に開庁した市役所総合庁舎周辺一帯においても交通量が大幅に増加しており、平良港から総合庁舎を経て空港までを結ぶ高効率のアクセス整備が課題となっている。
ついては、宮古島市の交通ネットワーク機能向上に向け、宮古空港横断トンネルを整備すること。
5 新石垣空港駐車場の拡張について
新石垣空港の従業員用駐車スペースは現在216台分しかなく、交代勤務の従業員を調整しながら340名で使用しているが、さらに待機状態の従業員も13名いる状態であり、国際線の再開を想定した場合、保安検査員等の新たな従業員用の駐車場の確保は必須である。また、一般駐車場においてはレンタカーのピックアップ場所としても使用しているため、時間帯によっては駐車場内が混雑し、連休等のピーク時には満車となり入場待ちの渋滞が発生している。
ついては、従業員用の駐車場と併せて、一般駐車場の拡張、レンタカーのピックアップレーンの設置を検討すること。
6 竹富町内各港湾施設の整備について
竹富町内の港湾施設において、老朽化や塩害等の影響によるコンクリートの剝離、雨漏り等、建造物が破損している箇所が多数ある。また、浮き桟橋の支柱等も塩害等の影響により劣化し、大変危険な状況である。
ついては、港湾施設の利便性向上と安心・安全で持続的な利用を実現するため、早急に施設の修繕・整備を行うこと。
7 空き家の利活用に係る支援について
竹富町では、増加傾向にある移住やIターン・Uターン等による住宅不足が課題となっているが、民間借家数が少ないことや建築コスト高騰等により、新築建設での対応が難しく、課題解決が困難となっている。
ついては、令和5年度に実施した竹富町空家等実態把握調査の結果を踏まえ、修繕・改修を行うことにより利活用できる住宅戸数確保の見込みがあることから、住宅不足解消に向けた予算確保について支援すること。また、行政と民間が一体となって住宅不足解消に向けた施策を実施することにより、SDGsの目標にある「住み続けられるまちづくり」の実現を図るため、支援すること。
8 与那国空港の機能拡充について
与那国空港のターミナルについては、昭和62年の供用以来36年が経過し、老朽化が進み建て替えを検討する時期に来ている。また、エプロンについても、定期航空便の運航時間外に他航空機を運航させている状況であり、拡張が必要である。さらに、近年の東アジアの情勢は緊迫度が増しており、有事の際、台湾に最も近い与那国町は、国民保護の観点から船舶や航空機により島外へ全島民を避難させる必要がある。
ついては、滑走路の延長及び拡張、エプロンの拡張、ターミナルビルの建て替えについて、支援すること。
9 村営住宅の補助率アップ及び建築入札不調への県の支援について
多良間村においては民間のアパートも少なく、空き家も有効に活用できないのが現状であり、慢性的な住宅不足が生じている。定住促進を図るためには住宅不足を解消することが大きな課題である。
ついては、村営住宅建設費の低い補助率の引上げを検討すること。また、建築業者の少ない離島においては入札不調が重なり、建築工事執行の困難な状況が続いていることから、入札不調に対し支援策を講じること。
10 普天間港ターミナル建て替え工事について
築40年余りを超え老朽化が進む多良間村普天間港ターミナルについて、令和5年度に実施した調査では、耐震性能は有しているものの、柱・はりのはつり調査では、建物全域にわたり鉄筋のさびが確認されている。コンクリートが大きく剝落した箇所はモルタルで簡易的に補修しているが、含有塩分量の多さから今後も同様に剝落するおそれがあり、危険な状況である。また、耐久度調査では基準に達せず耐久性を有していないという結果となっており、構造上危険な状態であることから、このまま建物自体を利用していくのは極めて厳しい。
ついては、普天間港ターミナルの建て替え工事を早急に実施するため支援すること。 |