陳情文書表

受理番号第85号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和7年6月3日 付託年月日令和7年6月17日
件名 読谷型地域包括ケアシステムの拠点となる地域急性期(救急対応)機能を有する医療施設等の実現を求める陳情
提出者読谷村議会議長
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要旨


 読谷村が位置する本島中部地区西海岸地域においては、救急対応可能な有床病院が存在せず、多くの村民が中部地区東側にある基幹病院での救急・受診・介護等を余儀なくされており、移動時間や経済的な負担が大きな問題となっている。
 また、本村には夜間や休日に受診できる医療機関も存在せず、交通事故や急な発熱、体調不良といった緊急時への対応や子育てをする上で不安を抱えながら日常生活を送っている。現在、救急搬送時間としておおよそ30分から35分要しており、さらに平成26年7月9日の大洪水では、比謝川等が氾濫し陸の孤島と化したことがあった。現在でも、本村と東側にある基幹病院をつなぐ「命の経路」は、米軍基地により、アクセスが制限されているほか、その全てが橋梁等でつながれているため、最近頻発している地震などが発災すると、橋梁等の崩壊等により病院へのアクセスが断たれてしまうおそれがある。そのような事態になると、陸域からの災害支援は皆無となり、2024年1月1日に起きた能登半島地震のように、災害支援に遅れが生じることが懸念される。
 本村を含む西海岸地域は、リーディング産業である観光の草分け的存在であり、観光地として成長を続けているエリアである。さらに、本村では高級リゾートをはじめ、様々な来訪者に対応できるように、ふるさとのように旅するリゾートビレッジ「BE YOМITAN」の推進を指針として、持続可能な観光地形成に取り組んでいる。また、県においては「量の観光」から「質の観光」へと観光のあるべき姿の本質を変える大転換があったが、質への転換を図るためには、安全・安心な観光地形成が必要不可欠であり、ホスピタリティーの一つである命の保障は当然求められるべきである。
 本島中部において既に救急有床病院が逼迫している状況の中、本島北部に大型テーマパークがオープンするなどさらなる医療需要の増加は、患者(救急搬送者)への適切な対応が困難になるなど、より深刻な事態を引き起こしかねない。沖縄県第8次医療計画にも「全ての県民が住み慣れた地域で安心して生活していくためには、必要な時に適切な医療サービスを受けられる体制が確保される必要がある」と示されている。
 ついては、誰もが住み慣れた地域で暮らし、生涯を全うすることを実現できる地域医療・福祉・介護・保健の充実及び安全・安心な持続可能な観光地形成に向けて、読谷型地域包括ケアシステムの拠点となる地域急性期(救急対応)機能を有する医療施設等の実現について配慮してもらいたい。