要旨
日本国憲法第9条は「戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」を放棄し、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明確に述べている。憲法の全ての項目は成人だけでなく子どもも対象になっており、当然「子ども期」においても保障されなければならない。「子ども期」を含め、若い人たちを戦争や戦争に関わるものに近づけないために実際に何ができるか、答えは全て憲法の中にあり、様々な場面で憲法が保障する権利を遵守すれば、おのずから戦争放棄をべ一スに平和的な外交を実践し、国際平和実現への道が開かれる。
第二次世界大戦の最大の犠牲者は子どもたちで、戦時下のドイツでは障害を理由に安楽死に至った子もおり、戦争に役立たない子どもは排除された。もう二度と子どもを犠牲にさせまいと強い気持ちを込めてつくられたのが子どもの権利条約である。子どもの権利条約の父と呼ばれるコルチャック氏は「どのような大義も、いかなる戦争も、子どもたちが幸福に暮らす当然の権利を奪うに値するものではありません」という言葉を残している。子ども一人一人が安全な環境で伸びやかに成長できれば、それこそが世界の平和に直結する。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 子どもの権利条約第29条第1項に規定する教育の目的に関連して
(1)子どもの権利条約に基づき、「紛争を非暴力的に解決する」ことを教育の主要目標に掲げ、具体的な内容をその都度見直すこと。
(2)銃器や戦車、戦闘機などを子どもに見せたり、その威力を誇示したり、子どもに体験させることは非暴力とは言えないので禁じること。
(3)戦争をイメージさせるものを学校に持ち込まないこと。
2 新自由主義社会における子ども期の喪失と意見表明権に関連して
(1)子どもに関わる全ての場所での「受容的・応答的な人間関係」の回復に努めること。
(2)国連が提唱するフルインクルーシブ教育の具体的な方法を見直すこと。
3 全ての子どもが、職業・進学の選択において自己決定権を行使できるようにすること。
4 あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利に関連して
(1)子どもたちが、好戦的になりやすく生命を軽んじる傾向が強まる内容のゲームに日常さらされていないか、子どもの知る権利を守りつつ注意深く見守ること。
(2)LINEを通じての関わりなど、ネットが子どもの人間関係を損ない、日常生活が圧迫されていないか見守ること。
5 子どもの権利条約における県の立ち位置について、戦場における子どもたちの苦境に対し、県として何ができるか考えること。 |