陳情文書表

受理番号第192号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和3年9月3日 付託年月日令和3年9月10日
件名 石垣リゾート&コミュニティー計画に関する陳情
提出者アンパルの自然を守る会
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要旨

平成29年2月2日から令和3年6月14日までに発表された4回の「知事意見」は、本会が主張したこととほぼ同じ内容であると認識しており、石垣市民の声をしっかりと受け止めて知事意見が出されたことに敬意を表するとともに、「石垣リゾート&コミュニティー計画」を前勢岳北麓の予定地に建設することを認可しないよう、以下の理由により要請を行う。
              
 ①建設予定地は、国立公園、ラムサール条約登録湿地であり生物多様性の宝庫、生き物たちのゆりかごと言われてきたアンパルの源流域に立地することから、石垣島で最重要な自然・アンパルを守る必要があること及び離島という狭小な環境で、広大な敷地を必要とするゴルフ場は、災害時等に多様な利活用ができる場所に計画すべきである。
 ②ゴルフ場経営はゴルフ人口減少による斜陽産業であり、石垣島の未来をけん引する産業でもなく、県が推進するSDGsに適合する計画でもない。またここは、石垣牛で有名になった石垣島の畜産業にとっても大切な広大な牧草地であり、農振除外を絶対に認可すべきではない。
 ③石垣島でこれ以上観光客を増やすことは、特別天然記念物であるカンムリワシなど野鳥をはじめとした陸海の動植物の楽園を壊してしまう。特に、沿海のサンゴ礁を護り育む原流域の森林や海岸林を破壊・減少・消滅させる開発、干潟や河川のカヌー利用を厳しく規制する必要がある。
 ④石垣島ではホテル営業に必要な上水を供給できない。「石垣リゾート&コミュニティー計画」では1日約1000トンの上水が必要と事業者は試算しているが、石垣市は1日100トンの供給を約束しているだけである。有限な地下水頼みの経営となり、その大量汲み上げによって、大規模な自然破壊が徐々に進行する。また、地球温暖化の中でも名蔵湾の奥深くで生き延びてきたサンゴとそれらを育んできた沿岸のサンゴ礁とイノーの生態系は、湧水に依存することが大きいので、地下水の過剰汲み上げは取り返しのつかない自然破壊となる。
 ⑤「石垣リゾート&コミュニティー計画」の計画域は特別天然記念物カンムリワシの生息・繁殖場所であるが、カンムリワシを守る法体系が整備されておらず、文化財保護法・種の保存法だけではカンムリワシを守ることはできない。生態系の頂点にあるカンムリワシ保護条例の作成を石垣市に要請すること。また、条例制定に必要な援助を行うこと。さらに、カンムリワシを県の宝として永遠に生存させるための専門的な分類・生態研究の体制をつくること。
 ⑥同計画は、9階建や10階建の高層ホテル建設を予定している。名蔵湾や於茂登岳、屋良部半島、バンナ岳など多方面からの自然景観を著しく損ね、風光明媚な石垣島の価値を壊滅的に損ねて取り返しがつかなくなる。計画地はホタルの重要生息地であり、光の影響を強く受ける多くの昆虫なども生息している。どんなに光量を減ずる設計をしても小さな命の犠牲を止められない。加えて、小惑星発見など数々の成果を誇り、計画地に隣接する石垣島天文台への多大な悪影響も懸念される。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 石垣島の自然を守るために「石垣リゾート&コミュニティー計画」を前勢岳北麓の予定地に建設することを認可しないこと。