要旨
闘鶏とは、シャモ同士を意図的に戦わせる行為であり日本各地で「受けシャモ」と「攻めシャモ」を対戦させる形式で行われている。受けシャモは、攻撃力を奪う目的で蹴り爪及び下くちばしをディスクグラインダーなどの大工道具で切断され、この処置は強い痛みを伴い、切断ミスや出血による重傷が多く報告されている。下くちばしを失った受けシャモは上のくちばしだけが伸び続け、これは箸1本で食事をするような状態であり、餌をうまく食べられずに餓死に至る危険性もある。上のくちばしを人為的に削ることも可能だが、そのたびに出血と痛みを伴い、毛繕いや草をついばむことができず、体についた虫を落とすこともできないなど日常的な行動が著しく制限され、明らかに鶏の福祉を著しく損なうものであり、アニマルウェルフェアの理念にも反している。
闘鶏による傷害は深刻で、片目あるいは両目を失う例も多く見られる。耳や頭を激しくつつかれた結果、脳に損傷を負い、通常の生活が困難になることもある。会場には必ず丸い囲いが設置され、無抵抗の受けシャモと攻めシャモが入れられる。試合は1回当たり60分、対戦カードによりそれ以上続くこともあり、受けシャモが倒れずに耐えることができれば受けシャモの勝ち、倒れたまま起き上がれなければ攻めシャモの勝ちとなる。このような行為は主に賭博目的で行われており、動物愛護法及び刑法の賭博罪の観点からも重大な問題がある。
沖縄県内においても全く同様の形式で闘鶏が行われているが、警察や動物愛護センターがこれを動物虐待として認識していない現状がある。沖縄県が動物の命に寄り添う地域社会を本気で目指すのであれば、闘鶏の黙認を続けるわけにはいかない。
ついては、県として明確な姿勢と具体的な対応を取るよう、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 現行の動物愛護法では、闘鶏について実際には全く適用されておらず、現場では放置されているので、沖縄県における闘鶏禁止条例を制定すること。
2 闘鶏は動物虐待であり、賭博行為は重罪であることを明記したポスターや啓発資料を各警察署、自治体、関係部署に配布し、関係職員への教育・周知を徹底すること。
3 闘鶏に関する通報件数を明らかにするとともに、通報を受けた際には、警察や動物愛護行政が適切に対応すること。
4 動物愛護管理センターや警察は、下くちばしを切られたシャモを見つけた場合、明確に動物虐待と認定し、動物愛護法を適用できる体制を整えること。 |