要旨
本陳情は、重度の障害を有する児童・生徒が県立高校入試において不利益を被ることなく、合理的配慮の下で公平な機会を得られるよう、制度の見直し及び運用の改善を強く求めるものである。
私の子どもは重度の脳性麻痺があり、言葉を発することができないが相手が話している内容を理解する力は十分にあり、これまで地域の学校で周囲の支援を受けながら学習を継続してきた。言葉を話すことができないなどの制約を抱えているが、それでも本人は強い意志を持って県立高校への進学を希望し、自ら受験という選択をした。
そのため、令和6年度沖縄県立高校の受験に際し、面接時における介助者の同席や質問方法、回答手段の工夫といった配慮を教育委員会に申請したが、これらの配慮は「他の受験生との公平性が保てない」との理由で却下された。加えて、文部科学省が示す「受験者、保護者、中学校、高等学校、教育委員会の合意形成を図るべき」との指針にもかかわらず、関係者間の協議は「時間がない」という教育委員会側の理由で行われなかった。さらに、沖縄県では同様の障害を持つ受験生に対して、5年前に介助者の同席が認められた前例があり、今回の対応との一貫性のなさも問題である。
これらの対応は、憲法第26条で保障される教育の機会均等、または障害者差別解消法及び障害者権利条約で定められた合理的配慮の原則に反している。
障害のある児童・生徒が自身の意思と選択に基づき、自らの能力と努力を発揮できる教育の機会をひとしく享受することは当然の権利である。そのために必要な配慮は「特別扱い」ではなく「公平性を担保する手段」であると法令や国際条約も明確に述べている。今回の対応が見過ごされれば、将来同じような状況の子どもたちが再び不当な扱いを受ける可能性がある。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 入試時の合理的配慮に関する審査基準の透明化と明文化をすること。
2 受験前に十分な準備期間を確保できるよう早期に通知し、申請に対する柔軟な対応(過去の前例や他県の対応も踏まえた、公正かつ一貫性ある判断基準の策定)と関係者各位との合意形成を確実に行うこと。
3 今後同様の事例が生じないよう、対応するための十分な人員配置と県内全ての中学校、県立高等学校と教育委員会に対する研修・周知を徹底すること。 |