要旨
厚生労働省による医療経済実態調査では、赤字法人は約25%を占める。医療法人の施設数約4万件のうち1万件が赤字経営だが、実態は数字以上に厳しく、資金不足のため借入金返済に追われ、病院建て替えなどの設備投資は計画すら立てられない厳しい状態である。信用調査会社によると、令和5年度の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は55件で過去最多、休廃業・解散も過去最多の709件で、このままでは日本の地域医療の存続が危ぶまれる。医療機関の事業と経営の危機は、必要に応じて医療を受ける国民の権利の危機でもある。
令和6年度診療報酬改定は、医療経営の実態、昨今の物価高騰に見合わないもので、特に中小の民間病院、診療所にとって非常に厳しい内容である。本来、診療報酬は地域の医療ニーズに応え適切な医療を提供し、職員にも世間並みの賃金を払い、健全な経営維持が可能なものであるべきだが、同改定は医療機関の願いに応えるものとは遠くかけ離れたものとなった。このままでは次期改定までの間に医療機関がなくなってしまう地域が出てくるかもしれない。
ついては、地域医療の崩壊を防ぎ、医療機関の事業と経営を維持するため、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 医療機関の事業と経営維持のため、診療報酬の再改定、補助金交付等の財政支援措置を行うよう国に対して意見書を提出すること。
2 国による診療報酬の再改定、補助金等の財政措置がない場合は、地方自治体として医療機関の事業と経営維持のために補助金交付等の財政支援措置を行うこと。 |