要旨
令和5年10月に導入された消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対し、多くの問題が指摘されている。
まず、消費税の課税事業者は仕入税額控除によって、売上時に受け取った消費税から仕入れ時に支払った消費税を差し引いて納税していたが、制度導入後は、インボイス登録事業者への支払いでなければ仕入税額控除ができず、控除できない分については課税事業者が負担することになった。さらに、制度導入に伴う事務負担も増え、課税事業者は税負担と事務負担を負うことになった。次に、年間売上高1000万円以下の免税事業者は課税事業者からインボイス登録を求められることがあるが、登録に応じた場合は新たな税負担や事務負担が増え、登録に応じなければ不当に取引額を減額されたり、取引そのものを中止される場合も考えられる。このように、事業者が互いに税負担を押しつけ合おうとすれば、今まで築き上げてきた信頼関係も失いかねない。また、事業者が税負担の穴埋めを商品価格に転嫁すれば、昨今の物価高騰に拍車をかけ、一般消費者にもさらなる負担を強いることになる。
インボイス制度開始後、「仕事がこなくなった」「税負担が増えた」「先行きが見通せない」などの声を聞くようになった。昨年12月、埼玉県議会では自民党県議団が提出した「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止等を求める意見書」が可決された。同意見書では「今やインボイス制度そのものを廃止することが最良の策であると言わざるを得ない」と述べている。
ついては、今後の沖縄県経済に過度な負荷を与えないよう、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 政府及び国会に対し、インボイス制度の廃止または見直しを求める意見書を提出すること。
2 中小零細企業や個人事業主を中心に、インボイス制度開始以降の変化や現場の負担などについて実態調査を行い、現状の掌握に努めること。 |