要旨
米軍那覇軍港は、空港及び市街地へのアクセス等に恵まれた一等地だが県民の使用が制限されている。近年は軍港自体の運用頻度の少なさからその必要性が疑問視されているが、返還に当たりSACO合意による嘉手納以南の負担軽減のための移設という名目で隣の市である浦添の海上を埋め立て、日本の税金でより米軍が使い勝手のよい軍港建設が進められようとしている。これは普天間基地返還のための移設として海上埋立てによる辺野古基地建設を推し進めようとする構造と全く同じ米軍再編の一環であり、辺野古同様沖縄県は浦添軍港建設に反対の意思を強く表明し、日米政府との交渉に臨むべきである。
また、県も事業主体である「那覇港浦添ふ頭地区交流・賑わい空間公有水面埋立事業」は埋立てによる事業ではなく、返還予定のキャンプ・キンザーでのまちづくりへと計画変更して、海を残した自然のロケーションを生かすべきである。那覇港長期構想の将来像実現に向けた基本戦略6「経済活動と豊かな県民生活、自然環境が共生する良好な湾港環境の創出」にのっとり、持続可能な発展のため港湾開発による埋立ての見直しを求める。
経済面においても埋立てには膨大な予算がかかり、費用は米軍ではなく私たちの税金から賄われる。沖縄県は米軍と一体になった浦添の埋立てに加担せず、県民の民意に沿った環境保全に努めてほしい。
浦添西海岸は都市に隣接しながらも自然環境が残っており、観光客やリゾートだけでなく地元からも愛される気軽に海に親しめる非常に貴重な海である。また、防衛省による環境アセスメントでも様々な種類の生物の生息が確認されており、市民と行政が一丸となって西海岸の環境を守り、以前よりも美しい海を取り戻すことは大切な使命である。SACO合意による軍港計画が立てられてから30年以上がたち、社会的価値観も変化した現代において、過去の決定事項ではなく、現在から未来を見据えた県民の目線で世界の財産として豊かな海を未来に残す努力を担ってほしい。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 米軍那覇軍港の無条件早期返還を要望し、米軍港建設に伴う浦添の埋立て及び沖合の巨大防波堤の建設に対し沖縄県として反対表明をし、関係機関に対して埋立中止への交渉を求めること。
2 沖縄県も加わる那覇港管理組合が事業主体となる「那覇港浦添ふ頭地区交流・賑わい空間公有水面埋立事業」の見直しを求めること。 |