要旨
近年の本県水泳競技は、選手・関係者の努力もあり、九州及び全国で上位入賞を果たすなどその活躍は県外関係者からも注目されるほどである。しかし、全国と比較すると、以下の点においてその競技環境水準は低いと言わざるを得ない。
① 平成22年に奥武山運動公園プールが完成してから、県単位、所属チーム単位での合宿も行われたことはあるが、水温が低く練習には不向き、天候に左右され日程調整が難しいといった理由から、合宿地として定着するには至っていない。また、冬場の合宿についての問合せもあるが、利用可能な公営室内50メートルプールがないために受け入れられない状態が続いており、東京オリンピックに向けた海外強豪国の事前合宿候補地としての調査も受けたが、実現には至らなかった。
② 例年、5月から10月までの時期は奥武山運動公園50メートルプールで競技会を開催しているが、今年度開催した4大会で、計7名の熱中症の症状を訴える者が出た。うち1名(観覧者)は救急搬送されており、年々このような状態に陥る参加者が増えていることを現場では感じている。
③ 日本水泳連盟は25度から28度(一般的には27度から28度に設定)での競技会開催を推奨しているが、本県では5月の水温は25度以下、梅雨明け後は32度に達し、さらに、強い日差しや強風は選手の体力と視認性等を奪うなど記録低下につながる環境要因を極力排除した競技会の開催が難しい。
④ 台風の強風域に入った際の施設閉鎖、雷雨等により、競技会が日程短縮・変更・中止となる事態が度々生じ、新たな日程では出場できない選手もおり、選手にとって競技の機会が奪われている。
⑤ 拘束力はないものの、全国大会予選となる地域大会の競技会場が室内50メートルプールに限定して選定されており、本県は今後選定されにくくなる。
⑥ 国民スポーツ大会水泳競技は開期前大会として9月中旬に開催され、台風の来襲が予測される時期であり、競技環境的にも悪条件の多い現在の奥武山運動公園プールを競技会場とするにはあまりにも不安要素が多過ぎる。
⑦ 冬場の競技会場となる沖縄県総合運動公園25メートルプールは、コース幅、水深、スタート台の高さや形状、プール側壁の表面材質等の競技成績に直接影響する部分において、現行の競技用公認プール規定とは異なる旧規格のプールであり、高速化が進んでいる現在の競技環境として適さない。
⑧ 令和3年度に沖縄県総合運動公園25メートルプールのボイラー設備に故障が発生し、また令和5年度は同プールの開閉式側壁レール補修工事のため、予定の競技会が急遽開催不可となった。現在も同プールの換気設備は故障したままであり、多くの部分で次から次へと不具合が生じている。同プールは経年劣化が進み、いつ使用不可となっても不思議ではない状態である。
ついては、水泳競技用室内公認プール新設に関し、現在公認50メートルプールのある奥武山運動公園及び沖縄県総合運動公園を含め、県内幅広く選定検討し、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 水泳競技用室内公認50メートルプール(国際プールA)を新設すること。
2 水泳競技用室内公認25メートルプール(国内一般プールA)を早期に新設すること。 |