陳情文書表

受理番号第149号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和2年8月31日 付託年月日令和2年9月15日
件名 児童虐待防止策の刷新に関する陳情
提出者パワチルうちなー
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要旨


 全国的に児相へ寄せられる虐待相談はここ30年間で増え続ける一方であり、沖縄県では2018年度に1100件と過去最多となり、前年度の691件に比べて1.59倍と増加率は全国ワースト1位となっている。これは、児童福祉などの専門家・有識者による制度設計が失敗し続けていることを示している。
 そこで、実際に親から虐待された当事者たちが望んでいる虐待防止策を検討してもらうために、昨年1年間で当事者本人から集めた新しいデータ、証言及び実態を基に、真に有効な虐待防止策を策定してほしい。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 児童虐待等について学校で児童・保護者等が学べる機会の創設について
 子供は虐待とは何かを知らないため、発達年齢に合わせて毎年1回、児童虐待等について学ぶ機会を義務教育で設ければ、早めに虐待された事実を自覚でき、早期発見により児相に保護してもらえる。このため、虐待・子供の人権・親権について、学校で児童・親・保護者が学べる機会を設けること。
2 成人した虐待経験者のための自立支援金制度の創設について
 虐待のトラウマで精神疾患等を患うと、就労が困難になり自分を虐待し続ける親との同居をいつまでも強いられる。そこで、親子関係に起因する精神疾患であることが明記された医師の診断書を役所に提出するだけで、自立できるだけの資金が得られる自立支援金制度を創設すること。自治体が支出した自立支援金は、自治体から虐待した親へ請求できるようにすれば、自治体は予算を最小化でき、親に対する抑止効果も期待できる。
3 虐待による治療費の全額返還制度の創設について
 虐待により精神疾患を患っても、治療費を子供が自己負担で払い続けることは珍しくないが、虐待された側が治療費を負担するのはおかしい。そこで、親子関係に起因する病気・障害であることの明記された診断書を役所に提出するだけで、既払い及び今後の医療費の全額が役所で即日返金される制度を創設すること。
4 児童虐待に係る損害賠償請求権の時効撤廃及び訴訟費用の肩代わり制度の創設について
 虐待された未成年が同居中の親を訴えることは心理的に難しく、家事事件を担当する弁護士も少ないため、事実が発生した時点で裁判を行うことはできず、時効になってしまう。そこで、親に虐待されて育った人は、時効なしに親を相手取った損害賠償請求ができるようにすること。また、虐待の抑止効果が見込めるため、沖縄県青少年保護育成条例を改正し、子供側が親に対して民事訴訟を起こす場合に限り、自治体が訴訟関係費用を肩代わりすること。
5 無料の子供起業塾の創設について
 統計では10歳以下に虐待が多いとされるが、現実は10歳以上になると、虐待に耐える日常が当たり前となり、虐待を自覚する機会が奪われてしまう。そこで、10歳から自分で商品・サービスを開発し、売る技術を実践的に学べる無料の子供起業塾を地域に創設すること。
6 虐待児を緊急保護しても逮捕されない「民間養護者制度」の創設について
 現行法では、虐待児を緊急保護しても親権者から誘拐罪で訴えられ警察に逮捕されかねない。そこで、保護したときに電話で民間養護者登録をするよう役所に報告すれば誘拐罪等で逮捕されなくなる制度を創設すること。
7 親権フリー及びシェア制度の創設について
 父母だけに親権を独占的に認めている民法では、父母に子育ての全責任を押しつけて孤立化を深め、虐待につながってしまうが、虐待児を保護できる権限は児相と親権者にしかない。誰でも虐待児を保護できるよう、父母以外でも親権者になれるように法律や条例を変えること(親権フリー)。
 複数の親権者を認めると、子供の生活費・教育費などにかかるお金・労力・時間も低減され、虐待されそうになった子供は他の親権者の家へ安心して避難できる。そこで、子供が親権者を選択・排除・追加できるようにすること(親権シェア)。