要旨
県立中部病院は、昭和41年に当時の沖縄中央病院がコザ市から旧具志川村宮里に移転して診療を開始し、同病院の開設により、宮里・江洲・志林川・赤道区はもとより具志川地域に住まいを構える住民や事業者が増えた。また、患者の多くが中部地区の住民で、とりわけ沖縄本島中部に多くの離島を抱える具志川、与那城、勝連地域にとっては、命をつなぎ止める基幹病院として現在に至っている。
開設以来、高度医療を提供する中核病院、基幹病院として救命救急センター、第2種感染症指定医療機関など重要な機能を備えた病院として位置づけられ、同病院を中心に、近隣には学校、開業医、スーパー、薬局、アパート、駐車場など様々な事業が複合的に共存する地域を形成し、関連施設に働く人や住民の暮らしを支えている。さらに、中部地区における地域医療の拠点として大きく貢献しており、地元の産業にも大きな恩恵をもたらし、地域の発展に大きく貢献している。
現在、県では同病院を現在地で建て替える計画が進んでいるところであるが、一部の意見として移転建て替えを求める声が報道されている。その理由として、現在地での建て替えではヘリポートや駐車場の確保ができない、高層病棟ではエレベーターを使用するため迅速な医療対応ができない、工期が遅れるなどと報じられているが、現在地は病棟及び駐車場を建設するに充分なスペースを確保しており、さらに敷地を拡張できる空地も隣接している。移転となった場合、新たな建設用地の確保や土地の造成工事などが見込まれ、むしろ建設費は増大し、工期は大幅に延びる可能性がある。
一方、現在地は県道75号線に面しているため数多くの路線バスが利用でき、病院利用者の負担軽減や利便性の面から最も恵まれた位置にある。用地確保を含む建設コストの面から市外への移転も憂慮されることなどを踏まえると、県の計画どおり現在地での建て替えが工期、経費の面から最良の方策である。
同病院近隣には宮里・赤道・志林川・江洲・新赤道の5自治会があり、うるま市人口の14%、1万7500人がそこに移住し生活しており、同病院の恩恵を受けている。災害に対応した建物の耐震化や病院機能をより強化した新しい病院の建設は、どこに病院を建設したとしてもひとしく求められることであり、現在地での建て替えにおいても十分考慮しなければならない課題である。その上で、利用者の利便性、医療従事者の働きやすさ、建設コストの低減など総合的に判断して、現在地での建て替えが最も理にかなっている。
以上の点から、中部病院の現在地からの移転に対して多くの市民が反対の意思を示しており、この地に暮らす市民の意見・意思を無視することは断じて許されるものではない。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 沖縄県立中部病院を現在地において建て替えること。
2 中部病院近隣の市民生活を重視するとともに、これまで以上に現場で働く医師、看護師の意見を重視し、高度な医療が提供できる他県に劣らない病院にすること。
3 先端医療機器を導入し、沖縄県の基幹病院として一人でも多くの命を救う病院にすること。 |