請願文書表


受理番号第8号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和6年9月24日 付託年月日令和6年10月8日
件名 沖縄県立中部病院の現在地建て替えを求める請願
提出者宮里区自治会
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紹介議員照屋 大河、喜屋武 力
要旨

 県立中部病院は、昭和41年に当時の沖縄中央病院がコザ市から旧具志川村宮里に移転して診療を開始し、同病院の開設により、宮里・江洲・志林川・赤道区はもとより具志川地域に住まいを構える住民や事業者が増えた。また、患者の多くが中部地区の住民で、とりわけ沖縄本島中部に多くの離島を抱える具志川、与那城、勝連地域にとっては、命をつなぎ止める基幹病院として現在に至っている。
 開設以来、高度医療を提供する中核病院、基幹病院として救命救急センター、第2種感染症指定医療機関など重要な機能を備えた病院として位置づけられ、同病院を中心に、近隣には学校、開業医、スーパー、薬局、アパート、駐車場など様々な事業が複合的に共存する地域を形成し、関連施設に働く人や住民の暮らしを支えている。さらに、中部地区における地域医療の拠点として大きく貢献しており、地元の産業にも大きな恩恵をもたらし、地域の発展に大きく貢献している。
 現在、県では同病院を現在地で建て替える計画が進んでいるところであるが、一部の意見として移転建て替えを求める声が報道されている。その理由として、現在地での建て替えではヘリポートや駐車場の確保ができない、高層病棟ではエレベーターを使用するため迅速な医療対応ができない、工期が遅れるなどと報じられているが、現在地は病棟及び駐車場を建設するに充分なスペースを確保しており、さらに敷地を拡張できる空地も隣接している。移転となった場合、新たな建設用地の確保や土地の造成工事などが見込まれ、むしろ建設費は増大し、工期は大幅に延びる可能性がある。
 一方、現在地は県道75号線に面しているため数多くの路線バスが利用でき、病院利用者の負担軽減や利便性の面から最も恵まれた位置にある。用地確保を含む建設コストの面から市外への移転も憂慮されることなどを踏まえると、県の計画どおり現在地での建て替えが工期、経費の面から最良の方策である。
 同病院近隣には宮里・赤道・志林川・江洲・新赤道の5自治会があり、うるま市人口の14%、1万7500人がそこに移住し生活しており、同病院の恩恵を受けている。災害に対応した建物の耐震化や病院機能をより強化した新しい病院の建設は、どこに病院を建設したとしてもひとしく求められることであり、現在地での建て替えにおいても十分考慮しなければならない課題である。その上で、利用者の利便性、医療従事者の働きやすさ、建設コストの低減など総合的に判断して、現在地での建て替えが最も理にかなっている。
 以上の点から、中部病院の現在地からの移転に対して多くの市民が反対の意思を示しており、この地に暮らす市民の意見・意思を無視することは断じて許されるものではない。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 沖縄県立中部病院を現在地において建て替えること。
2 中部病院近隣の市民生活を重視するとともに、これまで以上に現場で働く医師、看護師の意見を重視し、高度な医療が提供できる他県に劣らない病院にすること。
3 先端医療機器を導入し、沖縄県の基幹病院として一人でも多くの命を救う病院にすること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容


中部病院では、施設の老朽化、狭隘化のほか、ヘリポートの設置や職員駐車場の不足等が課題となっております。
特に、南病棟の耐震化は長年の懸案事項であることから、一刻も早く解決を図り、入院患者及び職員の安心・安全を確保する必要があります。
このため、病院事業局におきましては、令和5年度に外部有識者を含めた検討委員会を設置し、南病棟への対応方針や将来果たすべき役割・医療機能、各課題等について、検討を行ってまいりま
した。
検討委員会での検討の結果、現地建て替えにより、救急車両の受入制限や病棟閉鎖等の医療機能の低下を伴うことなく、南病棟への早期対応、本館狭隘化の改善、将来果たすべき役割・医療機能を担うことが十分可能であるほか、将来の医療需要の増加にも対応が可能と示されていることに加え、必要な駐車台数を整備できると見込んでおります。
病院事業局におきましては、これらを踏まえつつ、病院事業全体の経営状況等も総合的に勘案し、現地建て替えの方針を示した県立中部病院将来構想を策定したところであります。
将来構想の策定後、中部病院からの現地での工事に対する懸念や地元自治会からの請願等を踏まえ、現地建て替えに係る懸念事項について調査を行っております。
調査の結果、ヘリポートにつきましては、現地での設置が可能であります。また、高層病棟による患者急変時の対応につきましては、専用エレベーターの設置等により、迅速な医療対応が可能となっております。
その他の懸念事項につきましても、現地建て替えにより概ね対応が可能なことから、中部病院に対して説明を行ったところでございます。
今後は、地元自治会から請願等が出されたことを踏まえ、中部病院近隣の住民等に対しましても説明を行ってまいります。
病院事業局としましては、中部病院が引き続き、本県の基幹病院、地域の中核病院としての役割・機能を果たせるよう、病院職員と協働しながら、現地での建て替えに向けて、基本計画の策定に取り組んでまいります。