陳情文書表

受理番号第123号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和4年8月5日 付託年月日令和4年9月30日
件名 キャンプ瑞慶覧から搬出されている米軍ごみの不適正な収集・運搬及び処理・処分の適正化を求める陳情
提出者******
要旨


 米軍施設から排出される米軍ごみにも廃棄物処理法の規定が適用され、米軍ごみは、同法上の一般廃棄物(産業廃棄物以外の廃棄物)になる。また、同法上の一般廃棄物には、可燃ごみだけでなく不燃ごみ、粗大ごみ及び資源ごみ(以下「不燃ごみ等」という。)が含まれる。環境省は、「ごみ処理基本計画策定指針」において、市町村にその区域内から排出される全ての一般廃棄物を対象とした計画の策定を義務づけており、都道府県に対して市町村へ同指針の周知徹底及び指導を要請している。
 北中城村が令和4年3月に改定した一般廃棄物処理基本計画の対象区域には米軍施設(キャンプ瑞慶覧)が含まれるが、同村は米軍ごみのうち可燃ごみの収集・運搬計画は策定しているものの、不燃ごみ等は計画の対象から除外している。また、同月に中城村北中城村清掃事務組合(以下「組合」という。)が見直した一般廃棄物処理基本計画の対象区域にも米軍施設(キャンプ瑞慶覧)が含まれるが、組合も米軍ごみのうち不燃ごみ等を計画の対象から除外している。そして、キャンプ瑞慶覧から排出される米軍ごみの処理を条件に防衛省の補助金を利用して整備した青葉苑では、焼却炉を使用して可燃ごみの処理だけは行っているが、リサイクルプラザを使用した不燃ごみ等の処理は行っていない。
 市町村(一部事務組合を含む。)は、同法第6条の2の規定により、その策定する一般廃棄物処理計画に従い一般廃棄物処理事業を行う必要があるので、北中城村は、米軍ごみのうち不燃ごみ等の収集・運搬を行えず、組合は米軍ごみのうち不燃ごみ等の処理・処分を行えないことになる。しかし、その場合、組合は永遠に防衛省の補助金に係る補助目的を達成できないことになる。
 なお、浦添市、中城村及び北中城村(以下「1市2村」という。)は環境省の交付金を利用してごみ処理の広域化を推進するため共同で循環型社会形成推進地域計画を作成しているが、同計画は1市2村が広域施設の整備を完了したときに、青葉苑を廃止することになっている。そして、県は同計画を適正と判断して環境省に送付している。しかし、県や環境省の考え方にかかわらず、防衛省は組合に対して補助金に係る補助目的の達成を免除することはできない。したがって、組合が補助目的の達成前に青葉苑を廃止した場合は、防衛省から補助金の返還及び加算金の納付を命じられることになる。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 北中城村に対して、令和4年3月に改定した一般廃棄物処理基本計画を見直し、米軍ごみに含まれる不燃ごみ等に関する収集・運搬計画を策定するよう適切な技術的援助を与えること。
2 組合に対して、令和4年3月に見直した一般廃棄物処理基本計画を再度見直し、米軍ごみに含まれる不燃ごみ等に関する処理・処分計画を策定するよう適切な技術的援助を与えること。
3 県が公表している米軍基地関係の資料によると、北中城村及び組合の一般廃棄物処理基本計画の対象区域に含まれる米軍施設(キャンプ瑞慶覧)内の居住者は3000人から4000人程度と見込まれるが、同施設から排出される米軍ごみのうち、村が収集・運搬を行い組合が処理・処分を行っている可燃ごみの排出量は、人口約4万人の中城村・北中城村エリア全体の可燃ごみの排出量に対してO.5%未満と極めて少量である。ついては、県の責任において、村及び組合に対して、米軍施設(キャンプ瑞慶覧)から排出される全ての可燃ごみを対象にして一般廃棄物処理基本計画を策定していること及び組合以外に可燃ごみの処理・処分を行っている民間業者がいないことを確認すること。
4 私の理解では、法の規定により、北中城村においては、同村の一般廃棄物処理計画に従い米軍ごみのうち不燃ごみ等を収集・運搬し得る民間の許可業者は存在していないことになる。ついては、県の責任において、同村及び組合が一般廃棄物処理基本計画を見直すまでは、キャンプ瑞慶覧に対して、不燃ごみ等の搬出を停止するよう、法の規定に従い適切な指導・助言等を行うこと。
5 県の不適正な事務処理により1市2村のごみ処理の広域化が白紙撤回になるおそれがあるので、1市2村が作成して県が環境省に送付した循環型社会形成推進地域計画における青葉苑(米軍ごみの処理に一度も使用しないまま平成26年度から運用を休止している灰溶融炉及び令和3年度まで米軍ごみの処理に一度も使用していなかったリサイクルプラザを含む。)の廃止時期について、防衛省が定める財産処分の承認基準に従い見直すよう、1市2村に対して適切な技術的援助を与えること。