要旨
このたび、美ぎ島美しゃ市町村会は、宮古・八重山圏域における喫緊の課題や財政的に解決が困難な課題等を取りまとめた。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 離島に住むがん患者等の医療に係る負担軽減について
医療体制が脆弱な離島においては、特定の疾患を有する住民は治療、入院等のため沖縄本島への移動を余儀なくされ、経済的に多大な負担を強いられている。本会市町村では、島外での難病治療等に対する支援として渡航費等の助成を実施し、令和6年度から助成回数の上限を引き上げるなどの措置を取っているが、現地での移動や食事にかかる費用など助成対象外の経費も多く、患者の経済的負担は依然として大きい。また、特に血液がん患者は抵抗力が低く慢性的な貧血状態にあることから、度重なる渡航が精神的、体力的に大きな負担となり、島外での治療を断念する例も見られる。
ついては、離島に住むがん患者の負担軽減を図り、必要とする医療を身近な場所で安心して受けられるよう、血液専門医及び腫瘍内科医の常駐、無菌室の設置等の医療環境を圏域内に整備すること。
2 インバウンド受入れに伴う地域課題への対応について
コロナ禍からの回復後、国内のインバウンド需要は急増し、宮古・八重山圏域においても入域外国人観光客数は過去の実績を上回る状況にある。一方で、離島である本圏域においては医療体制が脆弱であり、コロナウイルス感染症拡大時には、外国人観光客の重症患者等への初動対応が遅れるなどの課題が浮き彫りとなった。今後インバウンド受入れを推進していく上で、感染症等発生時の外国人観光客への対応については、県とのさらなる連携強化が不可欠となる。
ついては、急増する離島のインバウンド需要に対応可能な医療体制の整備について、県が主体となって取組を推進すること。
3 離島の児童生徒の大会参加にかかる交通費等の助成について
本会市町村では、児童生徒が島外で行われる大会等に参加する際、渡航費の助成などにより児童生徒及び保護者の経済的負担軽減を図っている。しかし、離島からの大会等への参加では渡航費以外の宿泊費、食費、移動費等多額の費用が生じ、教育にかかる費用負担が大きい。
ついては、将来にわたり継続する公平な教育機会が享受できる環境整備に向け、県による助成制度等を創設すること。
4 石垣市北部・西部地区の通学困難な高校生への支援について
石垣市は県内で2番目という広大な面積を有しており、人の移動手段とそれにかかる負担は重要な課題となっている。島内の北部・西部地区は、島内南部にある高校まで車でも約1時間を要すが、沖縄県バス通学費等支援事業の対象となる世帯より遠方に居住しているにもかかわらず、公共交通機関での通学が不可能なため同事業の対象外となるなど、支援制度が何もなく経済的に大きな負担となることから、子どもの高校進学に併せて通学可能な地域へ家族ごと転居せざるを得ず、当該地区の過疎化が進行する一因となっている。
ついては、島内に高校はあるが現実的に公共交通機関で自宅から通うことができない世帯に対して、沖縄県バス通学費等支援事業と同等の寮費補助などの支援制度や、離島高校生修学支援事業と同等の沖縄県独自の支援制度を創設するほか、群星寮に入寮できるよう支援すること。
5 小中学校の児童・生徒の給食費無償化について
小中学校の給食については、竹富町内に食品の販売箇所がほとんどなく、地元で調達できる食材が限られているため、島外からの輸送に頼らざるを得ない状況となっているが、その際の輸送コストが経済的な負担となっている。また、給食は児童・生徒の食育の場も兼ねており、様々な企画や趣向を凝らした給食を提供する機会を設けているが、これらの機会を維持するには給食費の値上げを検討せざるを得ず、保護者の経済的負担が増大することが懸念される。さらに、竹富町内の小中学校では、西表島に所在する2か所の共同調理場を除いて各島で単独調理場を設けているが、各学校の児童生徒数が少ないため小売価格の単価も高くなり、原材料の高騰、輸送コストに加え、保護者はさらなる負担を強いられている。
ついては、保護者の経済的な負担軽減及び子どもの健全な育成を図るため、給食費無償化に向けた支援を行うこと。
6 離島医療充実のための支援について
現在、与那国町立診療所は、公益財団法人地域医療振興協会が指定管理者として運営している。令和6年度から医師2人体制が実現し、町としても指定管理者が人材を確保するための運営補助金の増額を行うなどしたが、住宅不足の問題や診療所の建て替えも含め、よりよい環境を整備する必要がある。現在、町単費で運営補助金の支援を行っているが、財政負担が年々大きくなっている。
ついては、与那国町立診療所についてより一層の支援を検討すること。 |