要旨
現下の物価高は国民生活のみならず、医療機関・介護事業所等にも大きな影響を及ぼしている。医療機関等の経営は公定価格である診療報酬により成り立っているが、この診療報酬で医薬品・医療材料の購入費、人件費、各種委託費、配送料、施設維持・管理費用等を賄っているため、光熱費や食材料費の高騰に伴う価格転嫁は一切できない仕組みとなっている。そのため、医療機関等の健全な運営に対する影響を抑えるよう早急に対策を講じる必要がある。
このような状況を鑑み、本会では県内の病院に対し「令和6年度診療報酬改定等に関する医業収入実態調査」を行い、81病院中73病院から回答を得た。同調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない令和元年度と令和6年度の医業利益等を比較したところ、医業利益については74%の施設が減少傾向にあり、その主な理由について、物価高騰・人件費の増加が約66%で、診療報酬改定・その他の影響が34%との結果だった。この調査結果を受け、医業利益の減少が顕著であった急性期病院を中心とした意見交換会を開催したところ、「これまでにないほどの危機感を感じている。このままでは地域医療を守ることが難しい」等の厳しい意見が多数上がった。
ついては、医療機関等が安全・安心で質の高い医療・介護サービスの提供を継続できるよう下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 令和6年度補正予算について
厚生労働省の医療機関支援メニューについて、県内医療機関への適切かつ確実な執行を行うこと。
2 重点支援地方交付金について
(1)医療・介護分野の交付額について、九州各県の水準を確保すること。
(2)光熱費以外に高騰している経費(診療材料費、消耗品、委託費等)へも支援すること。
(3)食材料費については、入院時の食費の基準が490円に引き上げられた令和6年6月と比較し、同年10月における食料の消費者物価指数が3.5%の上昇となっていることなどを踏まえ、補助額を設定すること。
3 令和6年度補正予算、重点支援地方交付金に係る医療機関からの申請について、可能な限り簡素化を図り、執行率を向上させること。 |