委員会記録・調査報告等

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総務企画委員会記録
 
平成25年 第 7定例会

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開会の日時

年月日平成25年12月2日 曜日
開会午後 1 時 31
閉会午後 2 時 25

場所


第4委員会室


議題


1 特定秘密の保護に関する法律案について


出席委員

委 員 長  山 内 末 子 さん
副委員長  末 松 文 信 君
委   員  新 垣 良 俊 君
委   員  仲 田 弘 毅 君
委   員  具 志 孝 助 君
委   員  照 屋 大 河 君
委   員  髙 嶺 善 伸 君
委   員  玉 城 義 和 君
委   員  吉 田 勝 廣 君
委   員 前 島 明 男 君
委   員  渡久地   修 君
委   員  當 間 盛 夫 君
委   員  大 城 一 馬 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

知事公室基地防災統括監  親 川 達 男 君
総務部総務私学課長  大 村 敏 久 君
警察本部警備部長  蔵 原 智 行 君



○山内末子委員長 ただいまから、総務企画委員会を開会いたします。
 本委員会所管事務調査事件に係る特定秘密の保護に関する法律案についてを議題といたします。
 本日の説明員として、基地防災統括監、総務私学課長及び警察本部警備部長が出席しております。
 まず、特定秘密の保護に関する法律案についての審査を行います。
 ただいまの議題について、基地防災統括監の説明を求めます。
 親川達男基地防災統括監。

○親川達男基地防災統括監 特定秘密の保護に関する法律案の県への影響について御説明いたします。同法案については、現在、国会において審議中であり、施行前であることから、現段階で沖縄県へどのような影響を与えるかについては、明らかにされておりません。沖縄県としましては、今後の国会における同法案の審議の状況を注視してまいりたいと考えております。
 
○山内末子委員長 基地防災統括監の説明は終わりました。
 次に、総務私学課長の説明を求めます。
 大村敏久総務私学課長。

○大村敏久総務私学課長 特定秘密の保護に関する法律案の影響について御説明いたします。同法案は、現在、国会(参議院)において審議がなされているところであり、現段階で沖縄県にどのような影響があるかについては、明らかにされていないところであります。県としましては、今後の国会での審議を注視していきたいと考えております。以上で説明を終わります。

○山内末子委員長 総務私学課長の説明は終わりました。
 次に、警察本部警備部長の説明を求めます。
 蔵原智行警備部長。

○蔵原智行警察本部警備部長 特定秘密の保護に関する法律案につきましては、現在、国会において審議がなされているところであり、この法律案につきまして、現時点において、沖縄県警察として御説明できる立場にないことを御了解いただきたいと思います。
 なお、今後この法案が成立した場合、沖縄県警察におきましては、本法の規定や今後策定されることとなる政令及び運用基準に基づき、制度を的確に運用してまいることとなります。御審査のほど、よろしくお願いします。

○山内末子委員長 警備部長の説明は終わりました。
 これより特定秘密の保護に関する法律案について質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
渡久地修委員。
 
○渡久地修委員 県の今の説明を聞いて非常に意外です。この前の衆議院の福島での地方公聴会、福島の町長ですか、そういう人たちも懸念の声を上げて、福島県議会では全会一致で慎重審議を求める意見を上げているわけですよね。沖縄は戦後27年間米軍占領下に置かれていたのです。それから皆さん―基地統括監が今担当しているオスプレイの配備にしても、政府はオスプレイの配備は聞いていないとずっとうそをついていたのですよ。ところが、SACO合意のときからアメリカ側はオスプレイを沖縄に配備するということをずっと言い続けてきたわけです。今でさえこのようなことを隠しているのに、この特定秘密保護法案があったら、沖縄というのはもっともっと―今でさえ、秘密としていろいろなことが隠されているのに、皆さんの基地行政も大変な被害を受けることは明らかではないでしょうか。それについて先ほどの説明ではおかしいのではないですか。

○親川達男基地防災統括監 米軍基地問題、沖縄の基地負担軽減につきましてはさまざまな事象がございます。委員がおっしゃったオスプレイの配備についても、マスコミ報道で随時そういった話題が出てきます。それについて県はその報道等を捉えて迅速に照会などはしております。その部分がこの法案との関連で特定秘密かどうかというのは、この運用基準とかそういったものになるようでございまして、そのことと、例えばオスプレイが配備されたかということについては、もし米軍の運用に県民が影響を受ける場合には、県は速やかにそういったものの照会、それから対応はしていく所存でありますので、特段この部分で、現時点と今後のものがどのように影響するかについては、明らかにされていないということを申し上げたわけでございます。

○渡久地修委員 何が特定秘密になるのですか。

○親川達男基地防災統括監 この法案では、まずその対象が防衛に関する事項、外交に関する事項、特定有害活動の防止に関する事項、それからテロリズムの防止に関する事項という大まかなくくりはあります。それの詳細なものについては、今後基準を設けて指定するという手続になるということは政府の進めで確認しておりますけれども、どういったものが具体的にそういったものに指定されるかについては、今のところ明らかにされていないと考えております。

○渡久地修委員 今あったように、何が秘密かということも秘密なのです。だからこれが際限なく広がっていくのです。政府の恣意的な運用で、何でもかんでも官僚、あるいは大臣が秘密と決めれば全部秘密になっていってしまうのです。そういう意味で、例えば沖縄でいえば、県が、オスプレイの配備で344件の日米合意違反というものを公表して問い合わせをしていますよね。そういったことすら、いわゆる米軍の運用、自衛隊の運用でオスプレイの飛行ルートとかが秘密にされたら、これを県や市町村自治体が監視をしてチェックすること自体罪に問われることになってしまいますよね。

○親川達男基地防災統括監 今のは指定の範囲ということでの御質疑かと思いますけれども、指定される範囲がなかなかはっきりしないということで、国会でも議論になっていると承知しております。その辺につきまして、どういった事象がこういった特定の秘密情報になるのかについては、しっかり国会のほうで審議していただくべきだろうと考えております。

○渡久地修委員 きょう配付されている資料である新聞記事のコピーに、自治体の米軍監視規制もという見出しの記事がありますが、県の皆さん方の地域安全政策課の研究員が報告書を出していますよね。その中身について説明をお願いします。

○親川達男基地防災統括監 沖縄県知事公室に安全保障関係の研究員がおります。この研究員の活動として今回この特定秘密保護法案についてもレポートをまとめております。ただこれは、研究員の個々の研究活動の一環として行っておりまして、その中に今後想定される問題として米軍活動の監視活動、そういったものも対象となる可能性はあるということでございますけれども、それは一研究員の現時点での国会での審議、それからマスコミ情報でのいろいろな情報を捉えた中での議論でございます。そういった可能性はしっかり研究員の活動としてやってもらうということが県のスタンスですけれども、改めて申し上げますのは、そういったものの懸念もございまして、現在、国会で大変慎重な審議がなされていると思います。そういったものも含めて県としては、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。

○渡久地修委員 要するに、全国の74%の基地がある沖縄。沖縄本島の20%が米軍基地ですよね。米軍基地の運用とかというものは、沖縄県民に物すごい影響を与えます。県はこれまでも環境問題でも基地内の立ち入りを要請したり、いろいろなことをやっていますよね。あるいはオスプレイの監視も、合意違反しているのではないかということで、市町村も含めて監視をしている。こういったものが特定秘密に指定されたら、これさえも禁止されると懸念をしているのだけれども、そういった懸念がないとは言えないわけですよね。

○親川達男基地防災統括監 秘密の情報というものが、例えば航空機が実際に飛来しているのを目にする。そういったものを監視して、それが特定情報になるかどうかというのはなかなか難しいと思うのですが、その情報が、例えばこの法律にもありますけれども、航空機の仕様とか運用とかそういったものについては触れられていますけれども、ただ県内でオスプレイが飛んでいるのを目撃するのは飛行していれば目撃できます、そういったものを見ることが特定秘密になるかどうかということにつきましては、運用基準がどういった形で定まるかによって明らかになってくるのではないかと思います。

○渡久地修委員 たまたまテレビで大臣答弁を見ていたのですが、今おっしゃったように、一般の人がヘリモードでオスプレイが飛んでいるのを見たということを話したりすることは、当然話しても罪にはなりませんと言っていました。一般の人がたまたま偶然に見かけたものは。ところが、県や市町村あるいは監視をしている平和団体などがずっと日常的に飛行ルートを監視をするということが、運用上これが特定秘密だと指定されたら、これは罰則の対象になるのですよ。指定されたら罰則の対象になりますよね。

○親川達男基地防災統括監 今、参議院での審議の中でそういったものが指定される、指定されないということも今の時点ではっきりされておりません。仮定の話ですけれども、法案が成立した後の運用基準というものでそういったことが定められるという政府の説明がありますので、今の時点で個々の事象を対象になる、ならないということは県としても判断できないところであります。

○渡久地修委員 もしこの法案が通ったら、今、図らずも統括監がおっしゃったように政府の運用でどうにでも広がっていくのですよ。幾らでも指定してどんどん広がっていくわけです。そうなるのですよね。

○親川達男基地防災統括監 そういったことがまさに国会での議論の対象になっていると思います。そういったものを含めて、国民が納得できるような形で審議を尽くしていただくべきではないかというのが県の考え方であります。

○渡久地修委員 県としては納得しているのですか。

○親川達男基地防災統括監 繰り返しますけれども、こういったものが課題になっていることは承知しております。ただ、それが実際どの程度の対象になるのかということが明らかになっていないということで、それについてはしっかり国会審議を経ていただくとともに、その動向も注視してまいりたいと考えております。

○渡久地修委員 今あったように、これは国会でも審議不十分なのですよ。一気にやろうとして、担当大臣の答弁も二転三転して、とにかく際限なく秘密が広がっていくということです。そして、先ほどあったように、沖縄の基地はいらないということで基地を監視している人たちが処罰の対象になるという解釈も成り立つわけですよ。これは自民党でも一緒です。そういうことになりかねない。それが特定秘密なのです。だから、このようなものは絶対通してはいけない。それで、これがどういう実態だったのかということが復帰前にあらわれて―この前新聞に掲載されましたけれども、1970年に琉球政府が沖縄の航空写真を撮ったのですよ。そのときに撮った写真が公文書館に残されていますが―この航空写真を全部手に入れて、あのときは1枚撮りではなく飛行機でコマ撮りをしたものをつないでいくのですが、これは那覇空港ですが真っ黒に色が塗られています。これは復帰前と滑走路の形状も変わらないはずです。瀬長島も黒く塗られています。瀬長島には核兵器、毒ガスが貯蔵されていると言われていて、ヤギも放牧されていました。これが復帰前の沖縄の実態なのです。米軍基地を全部真っ黒に塗って情報を国民から隠す、こういう復帰前の植民地時代になりかねないということで、私たちはきっぱりこれは廃案にすべきだと思います。なぜこれは黒塗りされていたか、琉球政府の時代なのですが、承知していますか。

○親川達男基地防災統括監 その当時の状況は承知しておりません。

○渡久地修委員 復帰前の基地問題でも担当しているわけですから、こういった状況というものも、復帰前どうだったのかということももう一度おさらいをしてつかみ直していただいて、特定秘密保護法案が成立されたらこういうことになるということも十分つかんでいただきたい。だから私は、この特定秘密保護法案は、県議会としても絶対容認できないということをきちんと意思表示する必要があると思います。

○山内末子委員長 玉城義和委員。

○玉城義和委員 この法案を読ませてもらうと数限りなくいろいろな疑問が湧いてきますが、自民党ではずっとこの間60年代から秘密保護法みたいなものを立法しようという動きはずっとあったと思います。特に1985年ですか、中曽根内閣のころにスパイ防止法というものが国会に出て、これは非常に国民の強い反対があって成立はしませんでした。恐らく安倍内閣は―第1次のときもそうですが、この同類の法律を絶対つくるということが内閣の至上課題であるのだろうと思います。満を持して出したという感じがするわけですが、この長い間こういう法律をつくることは自民党政府の、ある面で言えば非常に念願だったと思います。だから、世論の強い反対があるにもかかわらず押し切ろうというような流れがあるのだろうと。国家安全保障基本法案というものが次に控えていて―これは文字どおり海外派兵ができるような状況の法律と、そして先に成立した国家安全保障会議設置法と3つセットにすれば、ほぼ憲法改正をしないでも集団自衛権も含めてほぼ完成するというような流れになるだろうと思います。そういう意味で、当該法律は安倍内閣にとってはぜひとも通さなければならないといいますか、達成するために必要だろうと言われていると思います。それで、先ほど渡久地委員の質問と少し関連して、この法律の別表というものがあります。この別表の中に防衛に関する事項というものがありまして、自衛隊法の別表第4に相当するものがあります。この中に、例えば武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法というものがありますよね。それから武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量。こういうものが具体的に例示されていて、これが要するに防衛に関する特定秘密になりますよということなのですね。それからすると、先ほどの議論ですが航空機の離発着を調べたり、あるいはオスプレイの訓練の回数を目視したり、写真に撮ったり、画像にしたりすることは、今の例示でいくと明らかにこれは特定秘密に該当すると考えられるわけです。だから、これは衆議院を通過したことから、大幅にこれが修正されるとは考えられないです。そういう意味からすると、沖縄の実際の米軍機だとか、それに類するようなものの調査をしたり、監視をしたり、目視をしたりしていくことは、これは十分に当該法律の言う特定秘密に該当すると考えたほうが妥当だと思います。そういう意味で、我々の、ただでさえ地位協定に守られて、全く中のことがうかがい知れない現状をさらにこの法律によって包み込んでしまって、我々は手も足も出なくなるようなそういう状態になるであろうということは想像できるわけです。そういう意味で、沖縄にしても当該法律はまだ国会で審議中ですからというようなのんびりした話ではなくて、成立してしまえば終わりなのですよ、これは。ですので、もう少し沖縄県としては前に出て粛々知事の意見も言うべきではないかと思うのですが、いかがですか。

○親川達男基地防災統括監 自衛隊法を引用して、それが今回特定秘密保護法に移ったということだと思います。ただ米軍基地については、米軍の運用状況、例えば嘉手納基地や普天間飛行場での離発着回数が―県も何度か確認しておりますけれども、それは明らかにされておりません。やはり米軍の運用にかかわることということで、現時点でもそれが確認されておりません。それを目視調査とかそういったものでやっておりますけれども、こういった調査が今回の法律に特定秘密として該当するかどうかという懸念は、確かにおっしゃっていることだろうと思いますけれども、その懸念が実際どういった形になるかという段階の話は、なかなか今の時点では―そういう可能性があるということでおっしゃっていると思うのですが、この部分がはっきりしないところであります。県は市町村と、例えばオスプレイの飛行については目視調査もやっております、そういったものの影響がどうあるかについては、今の時点ではなかなかはっきりしないというのが県の率直な感想でございます。

○玉城義和委員 先ほど申し上げた国家安全保障会議―NSCにしても、あるいは国家安全保障基本法にしても、この法律にしても、もともとはといえばアメリカの要請なのですよ、これは。強い要請があって、要するに日米同盟の深化に従ってこの情報を共有する、それを漏らさないということが必要ですよという要請があって、この流れが出てきているわけです。そういう意味で、これは自衛隊にしか適用されません、アメリカ、米軍は別ですよというのは極めて思想的な話であって、事の本質を理解していないと言われてもしようがないのです。そういう意味では、明らかにアメリカとの関係があって出てくるのであって、そこのところはこれは自衛隊だけにしか適用しませんという根拠はないですよね。

○親川達男基地防災統括監 これは国内法ですから、国内で有する情報ということが基本になるだろうと思います。それが海外から寄せられた情報もそういったものに含まれるという議論はありますけれども、米軍関係についてもそういったものがあるかどうかについては、また法律が別にありますので、そういったものでまた明らかになると思います。再三申し上げますけれども、この一つ一つの事例について、そういった懸念があることが、今まさに国会での審議の対象だと思います。その部分について、しっかり国会のほうで国民が納得するような形で審議を詰めていただきたいということが県のスタンスであります。

○玉城義和委員 当然、これは日米の軍事防衛協力の中にあるわけであって、そこのところは十分に考えられることだと思います。
 次に行きますが、この特定秘密の指定等については、沖縄県に聞いてもしようがない話で、これは恐らくおっしゃるように、国がやっていく話だろうと思います。それで、この法案の中に適性評価というものがありますね。これは県警にも一緒に聞きたいのですが、こういう特定秘密を扱う対象人員が公務員を中心にして民間の企業にもあるわけですが、6万4000人ぐらいと言われているわけですね。すると、警察庁長官から沖縄県警にも来るということでありますので、そういう意味での―例えば沖縄県庁で適性評価を受けるべき公務員といいますか、特定秘密にかかわるような人たちというのは、大体どれぐらいだと想定されますか。

○親川達男基地防災統括監 地方自治体のレベルではそういったものは対象外だと思います。

○玉城義和委員 県警はいかがですか。

○蔵原智行警察本部警備部長 沖縄県警察におきまして、本法案が成立した場合に本法の適性評価を受ける必要のある職員数につきましては、現時点で正確にお答えすることは困難でありますけれども、特定秘密を取り扱う蓋然性の高い警備部門の職員が中心になるということが想定されます。

○玉城義和委員 警備部門が中心になるということになりますと、中身としては例えばどういうことが想定されているのでしょうか。扱う秘密の中身は。

○蔵原智行警察本部警備部長 県警が取り扱うことが想定されます情報につきましては、別表で大きく4つ事項がございます。防衛に関する事項、外交に関する事項、特定有害活動の防止に関する事項、テロリズムの防止に関する事項。4つございますが、このうち特定有害活動の防止に関する事項、それからテロリズムの防止に関する事項について取り扱うことが想定されるところでございます。

○玉城義和委員 中身的にはどういうことが想定されているのでしょうか。

○蔵原智行警察本部警備部長 現時点におきまして、何が特定秘密となるのかにつきましては、今後運用基準等が定められ、かつ行政機関の長たる警察庁長官が指定するものでございますので、現時点で県警察としまして何が特定秘密となるかということについて、お答えできる状況ではございませんけれども、国際テロリストに関する情報等が特定秘密となり、その情報を沖縄県警察が有するということが一例として想定されるところでございます。

○玉城義和委員 このときに適性評価を受けるのは、本部長も含めて受けるのでしょうか。

○蔵原智行警察本部警備部長 現在、参議院で審議されております法律案第15条におきまして、警察本部長による適性評価の実施という規定がございます。ここでは警察本部長は政令で定めるところにより、特定秘密を取り扱うということが想定される職員についての適性評価を実施するという規定がございますけれども、警察本部長みずからも適性評価を受けるのかどうか、現時点の法律案についてどうかということは確定的に申し上げることはできません。

○玉城義和委員 第12条だと、当該行政機関の職員として括弧書きで当該行政機関が警察庁である場合においては、警察本部長を含むとあって、恐らく警察庁長官からであれば警察本部長も含むと解釈できるのかなと思っております。それで、この法案自体は、どこまで誰が特定秘密を指定するかとか、あるいは適性資格ということによって、例えば親戚に外国人がいないかと、酒の量はどうだとか、あるいは借金があるのではないかとか、個人の身元調査みたいなことを全部やるわけで、恐らく沖縄県警が今おっしゃるように、例えば警備部門を中心に適性評価をやると、その適性評価を受けた人たちは、その借金があるかないかとか、酒はどれぐらい飲むかとか、家族に外国人がいるのかいないのかとかをとにかく洗いざらい調べていくわけですね。それで適性評価がないといった場合には、恐らく私はその人の昇進とかそういう問題にまで影響してくるのではないかと思います。ですから、非常に影響が大きくて、実際にやってみると大変なことにぶつかるのではないかと思っておりますし、この5年間という期間にしても、5年を限界にして延ばせるわけです。そして30年以上も延ばせるとこうなっているわけです。とにかく、誰がどういう秘密を特定秘密として規定するかもわからないし、いつ解除されるかもわからない、その解除される理由もわからない。その適性評価で個人の身元調査を一斉に何万人という人数をやって、その後どうするのかという話も出てきます。とにかく、やればやるほど問題含みであると。それをそんなに慌てて通す必要は全くないと私どもは考えているわけです。そういう意味で総括的に沖縄県としてどういう印象を持っているのか。国の話ですから言いにくい面もあるかもしれませんが、感想がありましたらお願いします。

○親川達男基地防災統括監 県の場合は、やはり一番大きな関心があるのは米軍基地問題、そういったものの関連でどのような影響を受けるかということになるかと思いますけれども、ただ今の時点で確かに懸念がないという確証はなくて、可能性の部分がいろいろなマスコミ報道であります。それが現時点ではなかなか明らかにされていないということがございますけれども、県としては米軍基地の事案、事象があった場合には、その影響が県民に及ばないように影響をできるだけ少なくするようなことが基本の政策でありますので、この法案についてもそういった県民の視点から、米軍基地の基地負担の軽減が達せられるような形で議論していただきたいということが県の考えであります。

○玉城義和委員 県警からは何かありますか。

○蔵原智行警察本部警備部長 先ほどからどのような行為が処罰の対象になるのかという議論があったかと存じます。まず、そもそもどのような情報が特定秘密とされるかについて、まだ運用基準も示されておりませんし、そもそも県警としてこれについて申し上げる立場にはございません。なお、どのような行為が処罰されるかにつきましても、現在審議されている法律案の条文の解釈等を沖縄県警察として申し上げる立場にはございませんけれども、現在、参議院で審議をされている法律案におきましては、特定秘密を取得した際に処罰される場合につきましては要件がついております。まず人を欺き、人に暴行を加え、もしくは人を脅迫する行為により、または財物の窃取もしくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為、その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により特定秘密を取得したものは、という限定がございます。それから衆議院におきます修正によりまして、この罰則規定が目的犯化されておりまして、行為者が外国の利益、もしくは自己の不正の利益を図り、または外国の安全もしくは国民の生命、もしくは身体を害すべき用途に供する目的でこれを行った場合に、特定秘密の取得が処罰対象となるという条文構成になっております。さらに、この法律案につきましては過失犯処罰規定がございませんので、実行行為者におきまして、対象情報が特定秘密であることの故意の認識が必要であるということは、客観的に言えようかと思います。以上でございます。

○玉城義和委員 おっしゃったようにテロとスパイ活動ということだろうと思いますが、いずれにしても今、県警からありましたように何が特定秘密になるのかがわからないと。わからないままに法律が成立していくということになってくるわけです。日本の法律は罪刑法定主義で、要するに、罰するためにはどういうことが罪か明らかでなければならないということが憲法の規定なのです。そういう意味では、まさにこの罪刑法定主義にも抵触するような、何が罪かということが定まらないうちに法律ができてしまうという非常に矛盾した状況になっているということが、今お二人からもいろいろ出たと思います。そういう意味で、この法律はこれまでの憲法体系の中でも、法律としても極めて不完全で不十分であるということが言えると思います。

○山内末子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○山内末子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、特定秘密の保護に関する法律案についての質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 どうぞ御退席ください。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員退席)

○山内末子委員長 再開いたします。
 本委員会所管事務調査事項に係る特定秘密の保護に関する法律案について、議員提出議案として意見書を提出することにつきましては、休憩中に御協議をお願いします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、意見書の提出について協議を行った結果、持ち帰り検討することとなった。)

○山内末子委員長 再開いたします。
 本委員会所管事務調査事項に係る特定秘密の保護に関する法律案について、議員提出議案として意見書を提出することにつきましては、一旦持ち帰って検討したいとの意見がありますので、そのようにいたしたいと思います。
 以上で、本日の議題は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。


委 員 長  山 内 末 子