平成11年(1999年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 10月14日
翁長 雄志
 

 ただいま議題となりました議員提出議案第2号普天間飛行場の早期県内移設に関する要請決議について、提出者を代表して提案理由を申し上げます。
 普天間基地の返還は、大田前知事が、普天間基地が市街地のど真ん中にあり、人命への危険が最も高いとして橋本前総理に最優先で要請したものであります。
 それを受けて、1996年(平成8年)4月12日に橋本龍太郎首相は、モンデール駐日米国大使と首相官邸で会談をし、沖縄米軍基地の整理・統合・縮小問題についての協議を行い、普天間飛行場の5年から7年のうちの全面返還に合意をいたしました。
 「沖縄の米軍基地問題で最大の懸案となっていた、普天間基地の返還がついに決定し、橋本首相は「目に見える形で解決できた。沖縄の人たちに喜んでもらえると信じている。」」と沖縄タイムスの4月13日朝刊にコメントしております。
 さらに、大田昌秀知事も、「県民が最優先に求めていた普天間の全面返還が実現したのは政府が誠意をもって取り組んでくれた表れ、21世紀に向けて明るい沖縄をつくる第一歩となりそうな気がする」、これもタイムスの平成8年4月13日朝刊で語っております。
 そして、条件つきの返還に際しましては、大田知事は、「無条件の解決が望ましいが、それでは返還は実現しない。より危険度の少ない関連で解決を図っていくことしかわれわれに道はない」と琉球新報の4月13日の朝刊でコメントをいたしております。
 また、SACOの中間報告を受けての4月15日の記者会見では、「基本的には日米両政府が県民の要請を受け入れる形で、特別委などを設置し、沖縄の基地問題に取り組んでくれた。危険度の高い普天間飛行場や県道104号線越え実弾砲撃演習の問題など、沖縄側の意向を取り入れる形でやってもらったことには、素直に感謝したい。」、「県が精魂を傾けてやってきた以外の方法があるのか。県民の安全や暮らしを守るためにやってきた。 そういうこと(移設条件付きに応じられないということ)が通るような状況ではない。総合的に判断し、最大多数のものをもってやるしかない。」と4月15日の記者会見で語っております。
 そして、SACOの最終報告を受けて、これもコメントでありますけれども、平成8年12月2日、「これらの土地の返還が実現すれば、復帰後これまでに返還された土地面積を上回る在沖米軍施設面積の約21%相当が返還され、また、県が提示した「基地返還アクションプログラム」で第1期(2001年まで)に返還を求めている施設のほとんどが返還されることになり、評価するものであります。」、そして12月10日の県議会の答弁では、県は、日米両政府に対し米軍基地の撤去をこれまで要請してきたが、県の対応としてオール・オア・ナッシングでは問題を解決することはできないと述べております。
 SACOの中間報告、最終報告を踏まえての経緯は以上であります。
 残念ながら、大田前知事は、その後オール・オア・ナッシングの姿勢に突然方針転換をし、これまで構築してきた政府との信頼関係の中で基地問題を解決し、あるいはまた経済の自立、経済基盤の強化というような意味でいわゆる閉塞状況に陥っていったわけであります。
 そこで昨年の知事選挙がございました。そこで稲嶺県知事は、「基地問題は、国際社会や県民の安全保障、県土の有効利用、自治体の都市計画、地主や雇用員の生活、環境保全、総合交通体系、跡地利用や経済振興策等を検討した上で有機的かつ整合性のあるトータルプランの中で対応する。」、「普天間基地のその危険性にかんがみ早期の返還を実現する。跡地の活用については、振興開発のモデル地区として沖縄経済の自立化に資するよう国家プロジェクトによる開発を進める。」、「海上ヘリ基地案については責任をもって政府に見直しを求める。そのかわり県民の財産となる新空港を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用とし、当該地域には臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興開発をセットする。」と。
 このような公約を掲げまして、昨年この基地問題に関しましても、平和行政に関しましても県民に提示をし当選をいたしたわけであります。
 そして今日まで、経済振興については着々と実績を上げ、さらに来年の沖縄サミット開催という輝かしい快挙もなし遂げました。
 基地問題に関しましても、当選以来組織的におきましても、また水面下におきましても全力を尽くして真摯に取り組んでいることを評価するものであります。
 さらに、今定例会においての知事答弁で、「普天間飛行場の移設については、現在、国に提示するための絞り込み作業を進めており、最終的な段階ではありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について、特段の配慮がなされる必要があると考えております。 そうした中で、できるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。」と今定例会で力強く踏み込んでいる答弁がございます。
 普天間飛行場の移設について、解決に向けての作業が大詰めに来ていることがこれでうかがわれております。
 よって、県議会においても普天間飛行場の返還について一日も早く実現すべく県議会の意思を示すものであります。
 それでは要請決議案を朗読いたします。
   〔普天間飛行場の早期県内移設に関する要請決議朗読〕
 どうか、慎重な御審議の上、御賛同賜りますようよろしくお願いいたします。
 以上であります。(傍聴席にて発言する者多し)

 
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