平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 7日
渡久地 健
 

 10番目に、沖縄マリンジェット観光株式会社に対する債権放棄についてでございます。
 同株式会社の解散清算に伴う県の債権放棄問題は、事業着手の際の条件整備が不十分な中で強行に実施されたこと及び第三セクターのあり方について大きな課題を残すことになっております。
 昨年実施した経営診断には、事業着手に先立ってまとめられた調査報告書の中で事業採算について厳しい旨の提言があったと指摘されており、再建の方向性の中で新たな航路開発として年150万人の宿泊のある恩納村のリゾートホテルや久米島が挙げられ、当時のベースポート地を泊港から那覇港に、本部の寄港地をエキスポ港から渡久地港に移転する旨の提言がなされております。このようなことは、採算ベースを考えた就航計画が全くずさんであり、大幅な赤字が予想される状況下で事業を進めた当時の県政トップや幹部の責任は重大であると指摘せざるを得ないのであります。
 債権放棄額は7億4600万円余でありますけれども、実際の県の損失は出資金2億円、補助金6億8400万円を加えると実に17億3500万円に膨らみ、県財政が厳しい中で県民に対する行政責任は免れないものだと思います。
 そこで質問いたします。
 会社解散に至る経緯と清算手続の方法について。
 県の財政支援状況と県の債権を放棄する理由について。
 3番目に、従業員の他の職場への再就職の状況について。
 4番目に、第三セクターの経営状況は本県のみならず全国的にも厳しい実態が指摘されております。全国の状況及び県内の第三セクターの状況と課題についてお伺いいたします。
 次に、新石垣空港建設に係る位置決定の審議の状況と今後のスケジュールでございます。
 知事は、選挙公約で「問題解決できる実行型の県政確立」を目指し、新石垣空港については民主的な手続を踏まえた意思決定を図り早期実現を図ることを訴え、公約どおり昨年8月に36名の位置選定委員を選任し、ことし4月にカラ岳陸上案が決定し、その後建設位置地元調査会議が開かれ、去る11月22日には海岸線の保安林を保全し、土工量バランスにも配慮した原案から約180メートル陸側へ寄せた案を決定し、位置決定により新石垣空港計画は3年以内の着工に向けて大きく前進したと報道されております。
 そこで質問いたします。
 位置決定の審議の状況、環境調査等の課題、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 市町村合併の取り組みと今後の課題について。
 平成12年4月から地方分権一括法が施行され、地方分権はいよいよ実行の段階を迎えております。自己決定・自己責任のもと、住民に身近なサービスの提供は地域の責任である選択により決定することが求められております。
 一方、厳しい財政状況にあって効率的な行政運営の実現が求められる中で、市町村合併について国の方でも積極的な支援が進められております。住民生活や社会経済の面では広域的観点に立った効率的、総合的な町づくり、重点的な投資による基盤整備が期待されております。
 また、市町村の行財政の面では効率化が求められ、行政サービスの高度化、多様化の適切な対応が期待されております。
 そこで質問いたします。市町村合併に対する県の取り組みとその課題についてお伺いいたします。
 13番目に、少年法の改正でございます。
 来年4月から改正施行されます少年法は、刑罰対象年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げるなど約50年ぶりの大改革であり厳罰化を柱にしております。
 罪を犯した少年たちの口から、人を殺す経験がしたい、少年は死刑にならないので殺したと。また、昨日問題になりました新宿の歌舞伎町の問題でも、人を壊したいというショッキングな少年の発言を聞くと、罪に見合った罰を受けるのは当然である、犯罪を犯した少年だけが法によって守られているという現状はバランスを欠いているという考え方も国民の間で広まっております。
 一方、西鉄バス乗っ取り事件で重傷を負った被害者は、14歳といえばまだ義務教育の年齢、厳罰だけではなく一生かけて償えるよう人として教育することが大事であると話し、「目には目を」の応報的な考えに基づく厳罰化が果たして犯罪の防止につながるかどうか、専門家の中でも疑問視する声も確かにあります。
 少年たちを凶悪で特異な犯罪へと走らせているのは大人社会の急激な変化であり、家庭で、学校で、社会で確固とした価値観を持たないまま、子供の教育がなされずにいた社会の責任でもあります。今こそ心の豊かさの教育が求められております。
 そこで教育長に質問いたします。
 少年犯罪を防止する教育のあり方、心の豊かさを求める教育のあり方が求められております。学校現場でどのように対処する方針ですか、お聞きいたします。
 次に、県警本部長にお伺いいたします。
 平成11年度に殺人や窃盗、傷害などの刑法犯罪で検挙された少年の数は1262名で、そのうち中学生が51%を占めており、全国平均の35%を大きく上回り低年齢化が顕著であります。過去3年間の少年犯罪のうち、今回の改正で刑罰対象年齢14歳から15歳を適用すると何件の事件と人員が該当するのか。また県警として少年犯罪防止にどのように取り組むか、お伺いいたします。
 14番目に、マルチ商法「ユーゼン」、「古さと会」の問題でございます。
 マルチ商法による被害が全国の2倍と言われる本県では、また新たな被害の実態が明らかになりました。きょうの新聞でもこの「古さと会」の被害者が自殺したという報道がありました。「ユーゼン」と「古さと会」の2社が募った県内の会員数は延べ1万人以上と言われ、被害総額が60億と、過去の豊田商事、ベルギーカットダイアモンド商事事件、経済革命倶楽部(KKC)などの悪徳商法の教訓が生かされずに被害額はこれまでの最高だと言われ、今深刻な問題を招いております。
 借金までして出資するのは沖縄だけの特徴だと言われ、沖縄の美風であるユイマール精神が災いして友人や知人の紹介で入るのがほとんどであり、最初は1口と言われているのが、次々と欲を出して10口、20口とその被害は大きくなっているのが実態だそうであります。
 ある弁護士は、マルチ商法破綻とバブル崩壊になぞらえて、崩壊を予知できた一部の人だけがうまみを味わっただけで、ほとんどの不動産業者は踊らされただけだというバブル崩壊、マルチ商法も、会員も自分がもうかる側に立っているという錯覚を覚える。会員も自分がもうかる側に立っていないということを自覚すべきだということで注意を喚起しております。
 そこで伺います。
 県民生活センターに昨年からことしまでに寄せられたマルチやマルチまがい商法の相談件数はどのようになっているのか。
 新聞報道によりますと、相談員は5名で、平成2年度から相談件数は現在2倍に達しているけれども相談員の増員はなく、年々予算も削減され、年4回発行していた啓蒙のためのニュースも2回に減らされているとお聞きいたします。消費者対策の面から予算の確保と県民の生活を守る観点で相談員の増員など組織の強化はぜひ必要だと思いますけれども、当局の御見解を賜りたいと思います。
 2番目に、県警本部にお聞きいたします。
 現在、県警生活安全部で被害者の会から提出された書類をもとに事実関係を捜査していると思いますけれども、それについての刑事告発の見通しについてお伺いいたします。
 捜査上の関係でいろいろ難しいとは思いますけれども、もし現段階で答えることが難しければ、過去のマルチ商法の事例の刑事告発等について御報告いただければ幸いだと思っております。
 最後に、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)2010年開催誘致についてでございます。
 この件については、ことしの2月定例会で私の質問に対し、開催地が全国一巡する2010年開催を目指して知事が先頭となって全県挙げて積極的に誘致活動に取り組むことが必要であると強調いたしました。それに対して知事は、前向きに検討していくことの答弁があり、その後本会議でもたびたび議員の方から要請がありました。
 その後、3月には県高等学校体育連盟に「平成22年全国高等学校体育大会誘致推進委員会」が設置され全県的にムードが高まっており、去る12月1日には県高校体育連盟や県高校校長協会が県市長会、町村会やPTA連合会などの県下10団体の同意のもとに知事に2010年の開催を求める要望書が手渡されております。

 インターハイの開催には多大な開催費用が必要となり、財源確保の必要が当然あります。また競技種目は市町村に当てはめる必要があります。全県的な取り組みが必要であり、また競技施設等の整備に多大な経費と期間が必要であります。同時に競技力の向上を図るために小・中・高校が連携した長期計画を図る必要があります。
 平成20年(2008年)までの開催地が既に決定及び内定している中で、まだ奈良県と本県が開催の意向を正式に表明しておりません。しかしながら、既に2度目の開催を打診する県が出ているとお聞きいたします。
 インターハイの開催はスポーツの普及・発展だけではなしに、他の都道府県の選手や関係者とのスポーツの交流を通して本県の青少年に夢と自信を与える絶好のチャンスであり、ことし開催された九州・沖縄サミットにつながる21世紀の沖縄を担う人材育成にも大きく貢献するものだと確信しております。
 来年度の予算編成、これからの組織編成の面から勘案いたしましてもぜひ今議会で知事の明確な表明が必要だと思います。インターハイの開催に向けて知事の明確な御答弁をお願いいたしまして代表質問を終わります。

 
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