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平成15年(2003年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 2月27日
警察本部長(髙橋清孝)
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被弾事件の原因究明についてでありますけれども、一般論として民間地域において事件・事故を覚知した場合は県警が捜査するものと考えております。
本件事案につきましては、県警としては当初から米軍演習に絡むものかどうかも視野に入れ、事件・事故両面から捜査を推進してきておりますが、現時点で刑事事件であるとの認識には至っておりません。本件事案につきましては、米軍及び関係機関が連携して原因を究明すべきものと考えますが、県警としましては、県民の生命・身体の安全を守る立場から原因究明に向けて米軍や関係機関にできるだけ協力していきたいと考えております。
弾丸の保管についてでありますが、当該弾丸につきましては現在沖縄県警が保管・管理しております。
次に、レンジ10の発射地や着弾地の標高等についてでございます。
レンジ10における発射地の標高は約90メートル、発射地点から着弾地点までを結んだ直線上にある久志岳の最も高い位置が標高約325メートル。ちなみに久志岳の頂上は約335メートル、着弾地点の標高は約80メートル、発射地点から同久志岳の標高325メートル地点までの水平距離は約1420メートル、発射地点から着弾地点までの距離は約4280メートルとそれぞれ算出しております。
次に、事案当時のレンジ10の風向、風速についてであります。
沖縄気象台に事案発生時の風向及び風速について確認しましたところ、レンジ10に最も近い名護市
宮里在名護地方合同庁舎の観測地点において、午後1時、北東の風、風速4.7メートル毎秒、午後2時、北東の風、風速4.8メートル毎秒であるとの回答を得ております。
なお、この観測地点から着弾地点までは南東約5.2キロメートル、発射地点までは南東約7.8キロメートルとなっております。観測地点から着弾地点までは5.2キロメートル、観測地点から発射地点までは7.8キロメートルとなっております。
このように発射地点、着弾地点の発射時のずばりの観測データがありませんので、自然環境条件については若干の誤差があり得るとの認識であります。
次に、50口径機関銃の性能についてであります。
50口径M2重機関銃の性能は、初速850メートル毎秒、有効射程距離1800メートル、最大到達距離6800メートルであります。弾道計算の結果、有効射程距離の仰角は1.57度、着弾時の弾速は308メートル毎秒、入射角は3.24度で、最大到達距離の発射時の仰角は39.0度、着弾時の弾速は181メートル毎秒、入射角は63.6度となっております。
次に、事件現場への着弾の際の仰角等についてでありますが、弾道計算の結果、発射地点から着弾地点までの弾の飛び方については二通りの可能性があります。
1つ目は、発射時の仰角が10.4度の場合、着弾時の弾速は191メートル毎秒、入射角は22.3度、着弾までの時間は約15.3秒であります。
2つ目は、仰角が69度の場合、着弾時の弾速は208.3メートル毎秒、入射角は80.6度、着弾までの時間は約57.1秒であります。
なお、二通りとも若干の誤差が算出されますが、同誤差につきましては気象条件等の要因により変動し得る可能性があるとの認識であります。
最後に、撃ったその日の弾頭と、2カ月前、4カ月前のものとは硝煙反応で区別できるかについてであります。
県警の鑑定の結果、当該弾丸から火薬残渣の成分としてニトロセルロース、ニトログリセリンが検出されいわゆる硝煙反応がありました。両物質は、薄層クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフ出量分析を行い検出いたしました。
これらの火薬成分というものは時間の経過とともに分解、減少していくものであり、その分解、減少していく度合い、速度は、弾丸が放置された周囲の環境、例えば湿度、温度、土砂の性質等により異なります。科学警察研究所、米軍、自衛隊等に照会した結果、いずれも現時点では弾丸の火薬残渣成分の残存期間に関するデータがないとの回答であり、県警としましては火薬残渣成分のみで撃ったその日の弾丸か2カ月前のものであるか、4カ月前のものであるのかの区別をすることは非常に困難であると認識しております。
しかし、米軍が当該弾丸は米軍のものだと自認していること、発見弾丸を鑑定したところさびはなく、光沢が認められたことから、同弾丸は比較的新しいとの鑑定結果が出ていること、米軍は平成14年7月23日午後1時過ぎごろ、レンジ10内でM2重機関銃の実弾射撃演習を実施していること、また米軍は平成14年6月、7月の期間内では事案発生当日以外にはレンジ10においてM2重機関銃を使用した演習を実施していないとの回答を得ていること、付近への聞き込み、関係機関へ照会等を行っても同訓練以外にほかに同種M2重機関銃を使用した訓練がなかったこと、さらに弾丸の発見者の供述に信憑性があること等これまでの各種捜査結果を総合的に判断して、県警としましては、当該弾丸は7月23日当日、レンジ10から発射された可能性が高いと判断しております。しかし、腔線痕の一致する銃身の特定に至っていないことからそれ以上の断定はできず、最終的な事案の解明は困難な状況にあります。
以上です。
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20030107080110