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平成15年(2003年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 2月27日
髙良 政彦
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それでは通告に従って一般質問を行います。
まず、米軍基地問題、普天間基地の跡地利用について質問をいたします。
普天間米軍基地の跡地利用について、宜野湾市を中心に、専門家や地主等を中心にこれから計画が立てられるようですが、本員が繰り返し指摘してきたことは、従来のありきたりの消費型のまちづくりではなく、県外や国外から金を稼げるようなそういう企業の一大集積地として活用すべきと考えます。我が県内でまとまった土地は米軍返還跡地しかなく、特に普天間の海兵隊基地跡は大規模返還跡地となっており、沖縄の産業振興へ活用すべきであります。御答弁をお願いいたします。
普天間米軍基地の跡地利用計画が明確になるのはいつごろか。
普天間米軍基地の跡地利用のコンセプトは何か。
次に、バス4社の統合問題について。
統合の条件整備について質問をいたします。
バス4社の統合の意思の統一はなされているのか、各バス会社の労組との統合への諸条件については合意は成立をしているのか。
新会社の資本金20億円のうち民間12億円、公共8億円の見通しはどうか。
4社統合に必要な資金は104億円と試算されております。その他に退職金として40億円必要とのことですが、そのめどはついたのか。
統合に必要な資金のうち60億円を公庫に融資をお願いしておりますが、その可能性はあるのか。
県へ要望のある4億円の出資の是非はどうなっているのか。
それから統合会社の経営責任体制の問題は明確になったか。また過去の累積赤字の経営責任、その処理はどうなるのか。
次に、観光産業について、特に修学旅行について質問いたします。
本土各県の海外への修学旅行の学校数と生徒数、また上位の国々はどこか、年間のデータがあれば公表してください。
教育現場では「総合的な学習の時間」の導入がなされ、これを修学旅行にその意義を見出そうとしております。そのため、歴史教育、体験プログラム等が日程に組まれる傾向が強いが、我が県のこのような形での受け入れは十分か。
本土から特に中国の東海岸と韓国への修学旅行生が増加しつつありますが、我が県への将来にわたっての誘致対策は十分か。
本土以外の国外からの誘致対策に力を入れるべきですが、どのような対策がなされているのか。
国外からの一般観光客の誘致には直行便や乗り継ぎが容易なことがかぎとなります。この対策は十分立てられているのか。
平和行政と国際交流拠点づくりについて。
国連機関の誘致と国際会議の誘致について質問をいたします。
太平洋・島サミットがことし5月に開催されます。また、全米国州立銀行年次総会も沖縄開催が決定しております。そのほか、世界的な大企業「トヨタ」の総会も沖縄で開催決定となっております。このような国際会議や、さらに息の長い運動となる国連機関の誘致等、我が沖縄は本格的に取り組む段階に来ております。専門の部署あるいは誘致班等の設置と職務内容はどうなっているのか。
これらの国際会議や国連機関の誘致の予算の裏づけはどうなっておりますか。
次に、福祉と保育支援について。
乳幼児医療費問題について。
県は、今回助成対象を3歳児未満から5歳児未満に引き上げます。しかし、2歳児までは入・通院費は無料なのに、拡大した3歳、4歳までは入院費のみの支援であります。他府県では小学校入学前までの医療費の無料化は常識化しております。しかも、沖縄は出生率は日本一高いが、乳幼児の死亡率も高い。少子化にも歯どめがかかっていない実情であります。
我が沖縄県も小学校入学前までの医療費を助成すべきであります。御答弁をお願いいたします。
若い親にとって子供の医療費は大きな負担となります。その負担を少しでも軽くするためにも立てかえの償還払いではなく、現物給付にして親の立場に立ったやり方にぜひ改めてもらいたいと思います。子供を背負ってバスやタクシー賃を使ってわざわざ役所に手続に行く大変さのために手続を放棄する親がおります。これでは制度はあってもないのと同然であります。
次に、保育支援について。
公明党は、与党の自民・自由両党に働きかけ待機児童対策を主眼とする緊急少子化対策の基本方針の発表や、市区町村の少子化対策を支援する特例交付金事業や認可保育所の設置基準の大幅緩和等で合意をしております。この方針に基づいて地方自治体の事業を国が後押しをし、本土では駅前保育所や駅前ステーションの設置、病後児一時預かり所の整備、幼稚園での預かり保育など自治体で大きく進んでおります。東京都でも2001年から独自の認証保育所制度を発足させ、ゼロ歳児保育、延長保育など都独自の基準に合った無認可保育園に助成し、現在、予想をはるかに上回るペースで120カ所にふえております。
我が沖縄県の認可・無認可保育園の数及び入所児童数の現在の実態はどうなっておりますか。
過去3年間で無認可から認可になったのはどのくらいありますか。
待機児童の状況はどうか、その解消の見通しはどうか、またいつごろ解消に近い状態になりますか。
本土が認可92%、無認可8%に対し、沖縄はほぼ半々となっております。県は無認可保育園の認可への移行を奨励しておりますが、現実は資金等の事情もあって到底県の思惑どおりにはいきません。多少待機児童の解消はあっても根本的な解決にはほど遠いと思います。県独自の基準を設けて東京都のような認証保育所制度みたいな基準で認可外保育園に適用し、助成措置を講ずる時期に来ていると考えますが、御答弁をお願いいたします。
園長さんへの講習は認可保育園は平日でも時間がとれますが、認可外の園長は土・日以外は時間がとれません。講習のあり方も工夫すべきではないでしょうか。
次に、中小企業支援策について。
資金繰り円滑化借換保証制度について質問をいたします。
この制度は、公明党の提唱によって現在の経済状況にかんがみてデフレの進行等による売上高の減少等に対し、保証付借入金の借りかえや複数の保証付借入金の債務の一本化を促進して月々の返済額の軽減等を推進して中小企業の資金繰りの円滑化を図るものであります。
中小企業が金融機関から融資を受けるのを都道府県の信用保証協会が保証をする信用保証制度を拡充するため本年度補正で10兆円が確保されましたが、これはまず1番目は一般保証──これは担保・保証人がある場合、限度額は最高2億円であります。2番目にセーフティーネット保証──これは一般保証額の倍額を保証──となっております。3番目に特別保証──これは2001年3月に終了いたしておりますが、返済残高が112万件、金額で約8兆円、この3つで構成されております。資金繰りに苦しむ中小企業のために幅広く利用できるように今月の2月10日からスタートをしましたが、現場の金融機関には周知徹底されているのかどうか。
また、県内中小企業への啓蒙はなされているのか、御答弁をお願いいたします。
次に、医療について。
医療現場においてデリケートな女性の医療への配慮がないがしろにされた嫌いがあります。公明党では、浜四津敏子参議院議員を中心に全国的に女性専門の外来の設置を推進中であります。既に2003年度予算案には国立成育医療センターへの設置が盛り込まれ、また昨年は大阪市議会公明党の提案で大阪市立十三市民病院に女性専用外来が開設され、自治体レベルで整備が進んでおります。
そこで質問をいたします。
女性患者を女性医師が診察する女性のための専門外来を開設し、女性の身体的症状や精神的不安等総合的に診療ができる女性の体と心の診療科の設置が強く望まれておりますが、御答弁をお願いいたします。
医師、看護師、カウンセラー、助産師、薬剤師、ソーシャルワーカー等が一体となって女性の一生のライフスタイルに応じた健康チェックのできる体制が望まれます。今後の女性医療の方向性としてどのように考えているのか、御答弁をお願いいたします。
女性医師や女性医療の専門家の育成と女性医師が働きやすい環境づくりが重要と考えますが、御答弁をお願いいたします。
沖縄に「造血幹細胞移植センター」──これは骨髄、臍帯血など──の設置について質問をします。
再生不良性貧血症、通称白血病と言われる病気は血液のがんとも言われ、一度かかるともはや死を待つしかないと言われ、最も恐れられた病気でありました。しかし、骨髄の造血幹細胞やさらに臍帯血の中に強力な造血作用のある幹細胞があることが解明され、これの移植によって白血病も治る時代に入りました。
移植医療を行う病院は、骨髄移植で全国に200カ所、臍帯血移植では150カ所あると言われております。しかし、各施設間の医療技術に格差があり、またお互い同士の情報不足もあり、移植可能な骨髄や臍帯血が見つかっても移植が受けられなくて死亡をしてしまうケースがあります。移植施設の統合化と規模の拡大が急務とのことであります。今後の患者の増加と、我が沖縄がいやしの島として九州各県のみならず、日本のすぐれた医療技術をアジア諸国の人々のためにも沖縄を拠点に医療で貢献することも平和の発信地沖縄としての使命ではないかと考えますが、御答弁をお願いいたします。
最後に、我が会派の代表質問との関連について質問をいたします。
下地幹郎代議士の米軍普天間基地の嘉手納基地への統合論について質問をいたします。
公明党の遠山清彦参議院議員が外務省を初め関係機関から詳細な情報を収集し、下地幹郎代議士が唱えている普天間基地の嘉手納統合論がいかに非現実的で根拠の薄いものか、普天間基地の嘉手納統合こそ実現不可能に近いと結論づけております。
このことを参考に我が会派公明県民会議の糸洲朝則議員が、下地幹郎代議士の嘉手納統合論はそれこそ絵にかいたもちにすぎないと代表質問で厳しく断じました。
時間がないので二、三その矛盾点を指摘し、知事の御所見を賜りたいと思います。
まず、下地代議士は、辺野古沖移設は環境調査に3年、工事に12年、計15年かかり、その後普天間の跡地利用に環境調査と土地改良に5年、合計20年かかると述べております。一方、嘉手納統合では滑走路があるので格納庫と管理棟的なものを移せばよいので5年で済む。その後、普天間の跡地利用までに5年、合計10年で済むと述べております。
果たしてそうでしょうか。
嘉手納統合論で最も大事な嘉手納を取り巻く関係市町村の住民の意見、それを代表する首長の意思の統一、これは容易なことではありません。住民の合意が得られなくて嘉手納統合論は平成8年12月のSACOの最終報告で否定されたのではなかったのか。百歩譲って仮に嘉手納統合でいくとすると、まず日米外交上の約束事であるSACO合意による辺野古沖移設を破棄します。当然、米国はこれだけ時間を費やして紆余曲折を経ながらも合意にこぎつけた。また、これからやり直しということで、いい加減にしてくれということで恐らく一、二年は交渉のテーブルにはつかないでしょう。やっと交渉のテーブルについたとしても、さらに嘉手納統合について恐らく米軍側の都合を述べて相当交渉は難航をすることが予想されます。外務省は日米地位協定ですら県民から改正を強く迫られておりますが、一度も米側との交渉にはのせず運用での改善の一点張りであります。
このような外務省が改めて嘉手納統合論をまともにやると思っているのだろうか。仮に交渉のテーブルに日米がついたとしてもこれでまた一、二年はかかります。さらに、嘉手納町長を初め選挙で住民の信を問うことになり、四、五年を要するだろう。さらに住民大会や住民投票、町議会や市議会が紛糾するのは必至であります。純粋な民間専用空港の石垣空港ですら住民合意が得られず二転三転をし長年かかっていることを考えれば、ましてや嘉手納統合となるとその比ではありません。過去に嘉手納基地関係市町村住民のコンセンサスが得られず、嘉手納統合がだめになった経過を考えれば、まず可能性はゼロに近い。なぜ、今ごろそれを蒸し返すのか。滑走路があり、空き地があるから格納庫と管理棟を移せばよいという下地代議士の主張の根拠がいかに軽薄なものかということであります。
また、辺野古沖への移設には8000億円、嘉手納統合だと1000億円で済む。7000億円が浮くので沖縄振興に使えば経済の活性化になると、いとも簡単に述べております。
遠山清彦参議院議員は、8000億という金額は外務省を初め関係機関に確認したが、どこも8000億円かかると公表したところはないとのことであります。下地幹郎代議士は自分で勝手に8000億円の数字を出し、嘉手納統合に1000億円と決めて勝手に7000億円を浮かして、この7000億円を勝手に沖縄振興に使えばよいと言っているにすぎません。
基地移設の予算は防衛施設局であり、沖縄振興に7000億を使うと言っても振興関係の予算は内閣府の権限で国家予算、国民の税金を簡単に振り向けられることはできません。仮に嘉手納統合としたとき、そこへの移設の諸費用を積算して1000億円と出たら、そこには余りも不足も出るはずがありません。下地幹郎代議士は勝手に場所を移し、勝手に経費を浮かし、浮いた金を勝手に沖縄振興に使うというこのような論理展開にはもはやあきれてしまうばかりであります。
その他、嘉手納基地の離発着7万回のうち3万回は本土や空母から飛んでくるので、これをやめさせれば4万回に減ると言っております。
ところで、下地幹郎代議士は一方では、高い使命を持った彼ら軍人は訓練を行うことで任務遂行の達成度を高め、それにより地域の安定、平和、さらには自分の命をも守ることができ、軍人に対し訓練をやめてくれということは彼らにとっては死を意味し、同時に平和が崩れることになると述べております。
本土や空母から嘉手納基地へ飛来する航空機は作戦遂行や訓練のためのものであり、暇があるので遊びのために嘉手納に飛んできたとでも思っているのだろうか。訓練をやめよということは軍人にとっては死を意味すると言いながら、一方では3万回の離発着をやめさせるという。だとすると、何をもって3万回の嘉手納基地の離発着をやめさせるのだろうか。あの危険なレンジ10ですら県民の激しい抗議をしり目に訓練再開をしております。ここにも下地代議士の根拠のあいまいさが出ております。
また、海外の訓練で海兵隊1万6000名を削減できると言っております。2001年6月という時点をとらえてみますと、海兵隊のほぼ半分が県外か国外で作戦遂行あるいは訓練で、沖縄には常時半分しかいないということが判明しております。したがって、下地代議士が海外の訓練で沖縄の海兵隊は減らすと言っておりますが、既に実情はそうなっており、関係者から見れば何を今さらということになります。また、海外訓練をしても沖縄が彼らの生活の本拠地であるので結局は1万6000名の削減にはならないということになります。
このように検証していきますと、下地代議士の嘉手納統合論は実に根拠があいまいで矛盾だらけということになります。
また、下地代議士は、要するにいろんな意見があっていい、それが民主主義だと、必ずしも辺野古沖にはこだわらないということを言いました。ならば、聞きたいんですけれども、歴代の橋本・モンデール会談で始まって小渕首相、森首相、小泉総理という4代の総理、さらにいわゆる9回にわたる移設協議会、さらに名護の岸本市長や稲嶺知事の2回にわたる公約を掲げての選挙の洗礼を受けてきた。さらに住民投票とか、こういうように我々は国外、県外が一番望ましい。しかし、日米両政府の厚い壁に当たって、しかも海外へというのができない。しかし、それをほっておくわけにはいかない。宜野湾市民の世界で一番危険と言われるこの普天間基地を何とか軽減したいと、そういう思いから苦渋の選択として紆余曲折を経ながら今回の結論に達したのではないか。その手法、プロセスは民主主義ではなかったのか。これを否定するような辺野古沖にはこだわらないというような言い方は従来のものを否定するような、従来の民主主義の詰めを否定するような言い方、これも納得できるはずがありません。
このように検証していきますと、下地代議士の嘉手納統合論は実に根拠があいまいで矛盾だらけということになります。
普天間基地問題で最も苦労している稲嶺知事は、県民を惑わすこのような下地代議士の発言に対し、毅然とした姿勢で反論し県民に誤解を与えないようにすべきではないか。
最後に、知事の御所見を賜りたいと思います。
以上です。
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