平成19年(2007年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 3月 1日
小渡  亨
 

 まず、新垣幸子出納長、稲嶺県政そして仲井眞県政での出納業務、大変御苦労さまでした。今後、大いなる飛躍を期待しております。
 それでは会議規則に基づき、仲井眞知事に初めての一般質問を行います。
 大田県政8年間の中で、米軍基地問題について、革新知事にとって都合のいいように米軍基地の事実が曲解され、そのまま定着していった数多くの事例がありました。そして当時はそれについて異議を挟むことさえはばかれる風潮があったように思います。その後、晴れて稲嶺県政になり、解釈よりは解決をといって当選した稲嶺県政でありますが、基地問題については、沖縄県民はマグマの上にいるといって曲解したままでありました。
 さらに最近では、公共放送のNHKまでも、沖縄には米軍基地の75%が集中しているという事実と違うことを平気で放送しております。
 そこで、仲井眞知事の認識を確認するとともに、その曲解の一つ一つを事実をもとに検証していきたいと思います。
 米軍基地の成り立ちについて。
 沖縄の米軍基地は、すべて銃剣とブルドーザーによって、県民の意思とは全く関係なくすべて強制的に接収されたとよく言われております。これは明らかに事実に反しています。銃剣とブルドーザーによる強制接収はごくごく小規模であり、沖縄の米軍基地全体の100分の1程度にしかすぎません。
 その反面、強制的ではなく、大田元知事やあるいは県民みずからが軍用地の提供を申し出て軍事基地を誘致した土地は全体の20%弱になっていると私は考えております。
 そこで質問です。
 (1)、銃剣とブルドーザーで強制接収されたと言われる土地はどこですか。
 具体的な場所、面積、戸数等を説明してください。
 そして沖縄の米軍基地に占める割合は何%か。
 さらに、現在もその銃剣とブルドーザーによって接収された土地が使用されている場所はどこか。そしてそれはトータルの面積からすると何%か。
 (2)、沖縄県民が進んで土地を提供し、基地を誘致した場所、その面積を教えてください。
 (3)、返還されたその軍用地をみずから再提供した場所が何カ所かありますか。その場所と面積を教えてください。
 (4)、大田元知事が在職中に提供した軍用地の場所と面積を説明してください。
 (5)、以上、(2)から(4)の、積極的に提供・誘致した米軍基地の面積は全体の何%に当たるのか説明を求めます。
 2番目、沖縄には米軍基地の75%が集中しているということについて。
 沖縄における米軍基地の割合は、全国比の75%を占めると言われるようになりました。しかし、この数字は在日米軍基地の一部でしかない米軍専用基地の割合をとらえた数字であり、明らかに曲解です。米軍専用基地は在日米軍基地の3割程度です。
 日米安保に基づき、我が国が米国に提供している在日米軍基地は、知事公室の基地対策課が毎年出している統計資料によると、135施設、10万1113ヘクタールであります。在日米軍基地の中には山口県の岩国基地、神奈川県の厚木基地、青森県の三沢基地といった自衛隊との共同使用基地と、嘉手納基地や普天間基地といった米軍専用基地があります。
 米軍専用基地は3万1206ヘクタールで、在日米軍基地全体から見ると30.86%にしかすぎません。残り7割の米軍基地は自衛隊との共同使用基地です。その30%の米軍専用基地の中で沖縄には2万3671ヘクタールの基地があり、米軍専用基地だけの全国比が74.7%ということであります。在日米軍基地全体から見ると4分の3の75%ではなく、4分の1の23.4%です。
 自衛隊との共同使用の岩国基地や厚木基地といった共同使用の米軍基地には目をつぶり、自分にとって都合のよい一部地域だけの嘉手納といった米軍専用基地の全国比75%という数字をとらえ、殊さら強調することは政治家としていかがなものかと私は思います。知事の見解を求めます。
 3番目、日米地位協定の改定について。
 日米地位協定の改定は、政府やあるいは米国政府の関係者の発言からして大変難しい問題だと私は思います。
 仲井眞知事は稲嶺知事の継承・発展ということで、日米地位協定の抜本的な見直しを求めるとしておりますが、稲嶺前知事が日ごろ常に言っていたように、改定に向け要求し続けるというだけではとてもとても目的が達成できるとは思えません。実際、8年間の任期満了に至っても何ひとつ進んでおりません。
 私は、地位協定改定について、特に難しいと思われる第17条及び第18条について、その困難な点を考えてみました。大原則は、協定の改定作業に当たっては日本側、特に沖縄県側の要求だけではなく、米国側の要求も同時に検討されるということです。「敵を知っておのれを知れば百戦危うからず」といいます。おのれだけを知って敵を知らずして戦えば確実に負けます。米国は同盟国であり、敵ではありません。しかし相対立する交渉相手になります。
 そこで(1)、地位協定改定協議が行われた場合、米側が要求してくると思われる項目を、第17条及び第18条関係について説明を求めます。
 (2)、米側の改定要求項目を日本側が仮に受け入れる場合、日本の現行法律をどのように変えなければならないのか説明してください。
 (3)、地位協定を改定する場合、それぞれの国における法的な手続はどうなるのか、その手順を説明してください。
 (4)、政府の主張である運用改善では問題の解決にならず、どうしても改定が必要であるという県の主張の具体的な根拠をいま一度改めて説明してください。
 4、防衛省自衛隊採用予定者激励会について。
 1月9日、防衛庁が防衛省に移行しました。朝鮮戦争を機に昭和25年、陸上自衛隊の前身である警察予備隊の発足、そして昭和27年に海上自衛隊の前身である海上警備隊が発足して、我が国の安全を守る組織として航空自衛隊を加え、防衛庁・自衛隊が設置されたのが昭和29年7月1日でありました。
 戦後の反戦平和・非武装の機運の中、特に沖縄では復帰時の逆風とも言える評価に耐えて、着実に実績を積み重ねてきた防衛庁・自衛隊にとって、52年6カ月余をかけての省移行であります。青春期を海上自衛隊で過ごした私にとっても、長年の念願が実現し、感慨無量であります。
 その防衛省に自衛官として入隊予定者の激励会が3月11日に陸上自衛隊那覇駐屯地で行われます。厳しい採用試験に見事合格した21世紀沖縄・日本の平和を担う立派な沖縄の若者たち250名余りの新たなる旅立ちであります。
 私は県議になって毎回その会に出席しておりますが、大田元知事、稲嶺前知事は、沖縄県民数百名という多数の就職激励会であるにもかかわらず、両名とも1回も出席しておりません。知事は、この激励会の主催団体の一つである沖縄県防衛協会の会長を現在務めておられます。さらに失業率の本土並みが知事公約の大きな柱であります。知事の出席を確認しておきたいと思います。
 5番目、沖縄空手について。
 沖縄の空手は14世紀に中国より伝わってきて以来、琉球王朝にあって独自の発展を遂げ、琉球独特の拳法としての形態を整えてきたものと思われます。
 沖縄を発祥の地とした空手は、19世紀の廃藩置県とともに日本本土へ伝わり、第二次世界大戦後は世界各地へ急速に広がっております。そして現在では愛好者の数は世界各地に150カ国5000万人もいると言われております。数の上ではオリンピック種目の柔道あるいは剣道をはるかに超えております。
 沖縄で生まれ、世界に誇れる伝統文化としては琉球古典音楽あるいは組踊、あるいは紅型、陶芸等がありますが、世界各地にまで広まり、人種、国籍を問わず愛好者がいるのは唯一空手のみであります。空手以外の伝統文化については県立芸大等で学ぶことができますが、空手発祥の地と言われながら、体育格技としても、武道文化としても専門的な研究がなされてなく、極めて残念な状況であります。
 今、本土の大学で空手を正課にしようという動きを見るならば、県がやらなければならないことはおのずとわかるはずであります。このままでは沖縄の空手道を学ぶためにわざわざ本土の大学に進学しなければならないことにもなりかねません。
 幸い、県には県独自の県立芸術大学があります。この県立芸大に武道文化としての空手道科、もしくは武道科を新設し、空手の体育格技あるいは武道文化としての学問を研究し、確立することはできないものか。沖縄空手界4団体の大同団結、統一に向け取り組んでおられる仲井眞知事にお尋ねします。

 さらに、国外から本場沖縄空手を学びに毎年多数の外国人が本県を訪れております。しかし現実は、経済的な理由により片手間にしかできない狭い個人経営の道場で寝起きをして、結果的には本場沖縄空手にがっかりして帰っていく空手愛好家も少なくないと聞いております。
 そこで、世界各地に5000万人余も愛好者がいると言われている空手を沖縄自立のための一つの資源としてとらえ、沖振法等でその活用策を見つけ、空手専門の道場等の建設はできないものか答弁を求めます。
 次に、県内の小・中・高校の体育の選択科目の中に空手を取り入れ、沖縄が世界に誇れる伝統文化空手を青少年の健全育成、そして文化の継承に、そして人材育成に取り組むべきだと思いますが、現在は十分に教えられてないと聞いております。現状と問題点、さらに解決策はどのようなことが考えられるのか答弁を求めます。
 6番目、県議会議員の定数について。
 平成17年度の国勢調査において、我が県の人口が増加したことにより県議会議員の定数を地方自治法により現在の50名から1名増の51名にしてもよいことになりました。なお、現在は法定定数50名を減数条例により2名減らして48名を条例定数にしております。
 今回、議会運営委員会に公職選挙法により議員1人当たりの人口格差が0.5倍以内になるような4種類の案が出されております。すなわち現在の定数の48名の1増1減案、条例定数を49名にした2増1減案、さらに50名にした3増1減案、そして定数いっぱい51名にした4増案であります。私は、現状維持の条例定数48名の1増1減案であっても、沖縄市選挙区の定数を1名ふやすことは県民あるいは沖縄市民の感情からしていかがなものかと考えております。
 そこで参考までに他の都道府県、そして県内市町村議会等で今後行われる選挙における議員定数の状況を説明してください。
 (1)、他の都道府県議会において今後実施される減数の状況、そして定数に対する減数の割合、(2)、県内11市議会、(3)、県内30町村議会において今後実施される選挙における減数の状況と定数に対する減数割合を求めます。
 以上です。

 
20070109180130