平成19年(2007年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月28日
観光商工部長(仲田秀光)
 

 おはようございます。
 嘉陽議員のカジノ推進問題の項目で、エンターテイメント事業調査報告書におけるマイナス面の特徴と感想についての御質問にお答えします。
 県で調査した「エンターテイメント事業可能性調査報告書」では、メリットとして、観光客の誘致、地域振興、雇用の創出、ゲーミング収益における税収確保等を挙げております。
 一方で、デメリットとしてギャンブル依存症の増加、犯罪の誘発、教育・地域経済環境等の悪化を挙げております。
 デメリットの具体例としては、ギャンブル依存症については、米国ゲーミング影響調査委員会等の調査によると、ギャンブル依存症に陥る割合はプレーヤー人口の約1ないし2%前後であること、犯罪の誘発については、カジノが存在する地域の犯罪率が他の地域に比べて2倍以上あり、米国内の犯罪率が減少する中で増加傾向にあること、教育・地域環境に与える影響については、米国において勤労意欲の低下、学校の中退など青少年への悪影響が指摘されていることが報告されています。
 したがいまして、カジノ・エンターテイメントの導入を検討するに当たっては、厳正な管理体制の構築を含め、指摘されているデメリットについていかに有効な対策を講ずることができるかが重要であると考えております。
 次に、カジノによる犯罪の誘発についての御質問にお答えします。
 県で調査した「エンターテイメント事業可能性調査報告書」によると、カジノを導入することにより窃盗、横領等の犯罪を誘引する可能性があるとともに、カジノ施設の内外に存在する暴力団によるカジノの利権をめぐる抗争も報告されています。
 しかし、犯罪の防止に向け制度・仕組みの整備に徹している地域も見られ、このような地域においては犯罪誘発の可能性が極めて小さいことが報告されています。
 これらのことから、カジノを含むエンターテインメント施設の導入に当たっては、官民による厳正な管理体制を確立する必要があると考えております。
 次に、「バクチャー」についての質問にお答えします。
 「バクチャー」とは、金銭をかけて花札等の賭博行為を行うなど、かけごとにのめり込むような人を言うものと理解しており、一般的にはよいイメージは持たれていないと思っております。
 次に、県内における競輪などの場外券売り場を設置する取り組みの件数と結果についての御質問にお答えします。
 県内における競輪、競馬、競艇などの場外券売り場の設置に関する取り組みについては、特に調査をしていないので件数等について把握しているわけではありませんが、沖縄市における競輪の場外車券売り場の問題については、新聞報道等で承知しております。
 当時の新聞報道等によると、生活環境の破壊や教育環境破壊につながるという地域住民の強い反対があったことなどから実現できなかったものと推測しています。
 次に、賭博が犯罪として罰せられる経緯と根拠についての御質問にお答えします。
 賭博は、刑法第185条及び第186条で禁止されております。
 賭博を犯罪とする理由について、最高裁判所は昭和25年11月22日の大法廷判決において、賭博行為は、国民をして怠惰浪費の弊害を生じせしめ、健康で文化的な社会の基盤をなす勤労の美風を害し、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し、または国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるとしております。
 一方で、競馬、競輪、競艇などの公営競技は、賭博罪の違法性を阻却する特別法により運営されており、刑法の保護法益と特別法の公益の増進や地方財政の健全化という目的を比較考量の結果、政策的に刑法第35条の法令行為として違法性が阻却され合法化されております。
 次に、自己破産などの実態とその状況をどう思うかについての御質問にお答えします。
 公営競技やパチンコ・スロットに起因してギャンブル依存症、多重債務や自己破産、家庭崩壊などが発生していることは、マスコミ等でも報じられており承知しております。このようなことが発生するということは大変残念なことであります。
 カジノの導入の問題を考える場合にはこのような問題についても適切な対策を講じることができるのか、近く検討するカジノ・エンターテイメント検討委員会において調査検討する必要があると考えております。
 次に、泡瀬干潟問題の項目で、特別FTZ用地の売却が進まない理由についての御質問にお答えします。
 整備されてない部分を含む最終的な分譲予定面積約89.3ヘクタールに対する分譲率は2.1%ですが、現時点で公募中の面積52.2ヘクタールを分母に、分譲済み面積1.9ヘクタールと買い取り条件つき賃貸用地4.3ヘクタールを合算して算定した場合の分譲率は約11.9%となっております。
 売却が進んでいない理由としては、日本経済の長期的な不況により企業の設備投資が控えられてきた状況があります。
 また、特別自由貿易地域への企業誘致が進まない理由としては、製造業関連産業の集積度が低いこと、分譲価額が他の都道府県と比較して割高になっていること、同地域の税制優遇措置を初めとする投資環境の認知度がまだまだ低いこと等が挙げられます。
 しかしながら、日本経済が不況から脱しつつある中、製造業の国内回帰に伴い企業の投資マインドは高まりつつあり、同地域においても平成17年度以降、分譲用地に1社、買い取り条件つき賃貸用地に2社、賃貸工場に9社と立地は進んできております。
 以上でございます。

 
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